07
「よーしっ、んじゃ"アンリをヒーロー的にかっこよく救出大作戦"決行だぜ!!」
「おー!!!」
「お前ほんとネーミングセンス皆無だよな」
意気揚々と拳を突き上げるギンとナナミ、それを半眼でツッコミをいれるラシア。
「んだよ〜、せっかくなんだからヒーローみたいに助けてぇだろ?私みんなのヒーローギンさんだぜ?」
「…でもギン、イカ臭いヒーローは嫌だと思うよ」
ユリは苦い顔でギンにやんわり言う。よほどイカ臭いのか、ギンの半径1メートル以内に誰も寄り付こうとしない。クラウドは口元に指を当てる
「いやしかし、イカ臭いからこそ何らかのパワーがあるかもしれない。……あっ、おいあまりこっち来るな。イカ臭が…」
「そうですね、もしかしたらイカパワーとかあるんじゃないですか?Zラストのセーファ化セフィロスみたいな。…というかすごい臭いですね、移るんでもう少し離れてもらえますか?」
「おいおい、セフィロス会う前にセーファ化すんじゃねーの。こいつもうギンじゃなくてイカそのものだろ。臭い的に」
「お前ら一発ずつ殴るからそこ並べ」
こめかみに青筋立てて拳を構えるギン。すると後ろからナナミが怒ったように腰に手を当ててラシア達を見る
「もうダメだよみんな!!男がよってたかって女の子に臭いなんて!!!ギンのなけなしの乙女ハートを傷物にする気!?」
「えっ、ギンが乙女…!!?」
「Σいやユリそこ驚くとこじゃないし!!!」
「…あー、臭いにも何とか慣れてきた。よし行くか!!!イカ臭でイカ退治してやるぜ!!!」
「…えぇー」
せっかくのフォローを無駄にされてしまったナナミは、がっくりして歩いていくみんなを見ていたのだった
一方その頃…
「くっ、奴等め…私のもてなしを無下にしおって……」
「いやイカ降らせたら怒られるに決まってるじゃないですか」
セフィロスは大広間に戻り、捕らわれたアンリと一緒にいた。
「だが馬鹿にしかされていないだろ、私は英雄だぞ?Zのラスボスだぞ?なのに…何故こんな扱い……うぅ」
「あ、ほら泣かないで下さい。お茶淹れたので、よければどうぞ」
流石にセフィロスを不憫に思ったアンリは、近くのポットでお茶を淹れ、セフィロスに差し出した。セフィロスはハッと顔を上げ、笑顔になる。
「ありがとう…母さん」
「いや私母さんじゃないんですが」
アンリは半目になってツッコミを入れながら、軽く後悔した。その時ーーー
フッ
「ひゃっ!?」「うわっ!?」
突然大広間の照明が消えて、辺りが何も見えなくなってしまった
突然の事態にアンリは動揺する
「…え、えぇっ!!?何で!?どうして明かりが消えちゃうの!?」
「まぁ落ち着け、今明かりを…」
外の雷以外の明かりが無い中、セフィロスは懐中電灯の明かりを付けた
自分の顔を下から照らす形で
「キィヤァァァァァ!!!お化けーーー!!!」
「ギャー!!?」
アンリは近くの湯飲みを投げつけた後、何故かポットのお湯をセフィロスにかけだした
「ちょ、熱い熱い!!というかなぜお湯!?」
「悪霊退散ーー!!……はっ、私は一体…?」
正気に戻ったアンリはお湯をかけるのを止めた。すると何故か照明が元に戻った。
「あっ、付いた……一体何だったのかな…まさか、本当に幽霊じゃ…!?」
「いや違う、多分母さんが遊んで欲しいのだろう」
「あなたのお母さんもある意味幽霊ですよね?」
「Σ!?」
アンリの言葉にセフィロスはショックを受けた様子で、ヘコんでしまった。その時ーーー大広間の扉がバーンと開いた
「アンリ!!無事か!?」
「みんな!!それに…クラウドさん!!無事だったんですね!!」
「ふ…ふっ、来たか」
気を取り直して、セフィロスはやって来たクラウド達を迎え撃つ準備をするのだった
by美鈴
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