03
薄暗い廊下を5人は進んでいく。たまに外が嵐なのか、雷が鳴り響いてたりして余計怖い
「嵐なのかな……」
「多分ね…ていうかラシア、いつまでそれ着てるの?」
アンリと手を繋いでいるユリはレイヴェルの肩につかまってる、半地デジカラシアを見る
「いや、これ脱げねーんだけど」
「ふーん…じゃ引っ張ってみるか」
「え、ちょΣぐあっ!?首!!首絞まってる!!」
ギンは足でラシアの背中を押さえ着ぐるみを引っ張る、しかし破ける気配がなく、ただラシアの首が絞まっただけだった。ユリとアンリは、そんなやり取りを少し離れて温く見守っていた。その時ーーー
ガタッ
「!!?」
アンリは物音のしたほうに振り返る。ついさっき通り過ぎた部屋の中からのようだ。アンリの異変に気付いたユリも視線を向ける。
「アンリ?」
「い、い、今そこの部屋から物音が…」
アンリの指差す方を見る。…物音…もしかしたらナナがいるのかもしれない。でも普通に怖い……
ユリは少し迷ったが部屋のドアノブを掴んだ。アンリは顔を強ばらせる。ユリは少し緊張しながら一気にドアを開けた。
キティちゃんがいた、部屋中敷き詰めるように頭のみ。
バタン!!!
「な、な、な何今の」
「き、キティちゃんいたね。軍団だった…ね…」
ユリは小さく頷くと再びドアノブを捻り、小さく開けて覗き込んだ。やはりキティ軍団がいた。丁度よく雷鳴が轟き、一瞬部屋が光り、あのキティの無表情が部屋中に見えた。超怖い。
「ひぃぃっ!?」「きゃぁぁぁっ!?」
バタン!!と閉めて悲鳴をあげるユリとアンリ。しかも何か内側からドアを叩く音がし、開けようとしている。めっちゃガチャガチャいってるよどうしよう!!!と二人がテンパっていると…
「どうしました?」
「え、何!?何だ!?何かいるのか!?」
二人の異変に気付いたレイヴェル、何も見てないのに震えてるラシア、何食わぬ顔で歩いてるギンが来てくれた。ユリが扉を必死に守りながら叫ぶ
「が、ガチャガチャ言ってるの!!なんかすごいガチャガチャ言ってる!!絶対ガチャガチャの神様がいる!!!」
「違うよユリ!!これはキティの怨念だよ!!!子供の頃可愛がられてたキティが大人になってから捨てられて…きっとそれで人間を恨んでるんだよ!!」
「何の話ですか、とりあえず二人とも落ち着いて下さい」
常識人のはずのユリとアンリの意味不明発言が出たが、明らかにテンパってるので問題無いだろうとレイヴェルは分析した。
「ぎ、ギンお願い!!なんとかして!!!」
「おっしゃー!!よろず屋ギン様に任せろ!!ふんっ!!!」
助けを求めてユリはギンを呼んだが、あろうことかギンはユリが必死に守っていた扉を大剣でぶっ壊した
「Σ何してんのーー!!?」
「キャァァァ!!!ふんっ、じゃないよ!!キティの怨念に取りつかれるー!!!」
パラパラと砂塵が舞う室内をユリとアンリは互いに抱きつきあいながら見守る。次第に晴れてきた視界に入ったのはぶっ壊されたドア、室内に佇むキティ、そしてーーー
「「ナナ!!?」」
「…いった〜〜〜い!!!」
壊されたドアの下敷きとなったナナミがキティの頭を脱いで、涙目でこちらを見上げていた。
ガバリと頭を上げると、ユリとアンリに抱きついた
「うわぁぁぁ!!!怖かったよーー!!!」
「も〜驚かさないでよー…ナナだってわかればドア開けたのに…」
「無事でよかった…よしよし」
アンリが頭を撫でると、ナナミは泣きっ面でだらしなく笑った
「えへへ…ありがとアンリ♪」
「ほら、私の言った通りだろ」
「いやギンあなた何も言ってなかったじゃないですか」
「キティ…ってナナのことか。つーか何でお前着ぐるみ脱げたんだ?俺脱げねーんだけど」
ラシアの半地デジカ化は置いておき、とりあえず全員揃ったのだった
by美鈴
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