08
アンリ救出のためやってきた6人の前でセフィロスはニヤリと笑った。
「やっと来たか。私は待ちくたびれ……何だか、臭いな」
「お前のせいだよ変態イカ野郎」
臭いといえばこの私、とでも言わんばかりの速度でツッコむギンに最早フォローをする気も起きない5人。
というか、イカもイカ臭いのは嫌なんだな。ラシアは口には出さないが、心の中でツッコんだ。
「誰が変態イカ野郎だ! というかそんな事今は関係ないだろう! さあ、私を倒してこの娘を救ってみせろ」
「当たり前だ」
即答したのはクラウドだった。それに皆も頷いて戦う体勢を整えた、のだが……。
「ふっ、だが簡単にはやられないぞ。いでよ、必殺英雄イカバズーカ!」
いきなり謎のバズーカをどこからともなく出してきたセフィロスに、人質のアンリまでもがポカンとする。
「なにバズーカ?」
「変態ひでおイカバズーカ」
ナナの問いに今まで見たことないくらいの真顔でラシアは答えた。
英雄イカバズーカ改め、変態ひでおイカバズーカを構えるセフィロスにあくまで動じることはない6人。それに更に腹を立てたセフィロスは発射!とも言わずいきなりバズーカをぶっ放した。
いきなりの開戦に驚く6人。かわそうとするも初動が遅れ、レイヴェルの顔面にイカが命中した。それに一瞬気を取られたクラウドの横顔にもまた、イカが。
ずるりとイカが落ちたのと、スイッチが入ったのはほぼ同時であった。
気温が一気に氷点下になったような、とんでもない冷気が舞い降りる。
「ユリー、2人が黒いオーラ出してるよ〜」
「イカ臭くなると思うとああなるのも分かるけど……」
「だったら私はどーすんだよ」
「お前はいいんじゃねえか? 馬鹿だからイカ臭いの似合うぜ」
デリカシーのデの字もないラシアの発言にギンが一発見舞っている間にも、2人の怒りはふつふつと煮えたぎっていた。
普段は落ち着いているレイヴェルであるが、実は短気な一面がある。イカが顔面ヒットしたのがレイヴェルの逆鱗に触れたのだろうか。
対してクラウドは冷静沈着で喜怒哀楽もあまり出さない。が、いきなりアンリを人質にとられ、さらにはイカ直撃という不運に見舞われたせいで色々限界だったのかもしれない。
「……変態ひでおイカバズーカごと、葬ります」
「……アンリを攫った報い、受けてもらう」
レイヴェルは愛用のナイフを構え、クラウドは近くにあった木切れを手に取った。ただの木切れなのに、武器よりも武器らしく見えるのは黒いオーラが引き起こす目の錯覚だろうか。
「ま、待て待て、話せば分かる! この娘も返すから、ちょっ…」
「「問答無用!」」
その会話の後、セフィロスがお化けより怖いものを見たのは言うまでもない。
by 玲夜
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