valentine project 2014 | ナノ







彼女がくれたチョコは口の中でふわりと溶ける生チョコ。まるで彼女のようだと思ったりもした。
琉華ちゃんにそのまま感想を伝えると「そんな事ないよ」と笑って謙遜した。僕は「本当ですよ」と言ったけれど、やっぱり彼女は「那月くんは優しいね」と謙遜した。
僕の彼女さんはとても物静かだから仕方ないのかもしれない。でも、何となく距離感があるような気がして、僕はどうも落ち着かない。
だから。

「お礼? バレンタインデーの?」
「はい、本当はお菓子を作りたかったんですけど、翔ちゃんにそれだけはやめろって言われちゃったので違うことでお礼します」
「そんな、いいよ。私は那月くんのために…」
「今日はホワイトデーです。次は僕が、琉華ちゃんのためにいーっぱい色んなことをする番なんです」

そう言うと、琉華ちゃんは頬をまるでリンゴのように赤らめながら頷いた。
とりあえずお礼を受け取ってくれる体勢は整ったらしい。
僕は用意していた紙袋を琉華ちゃんに手渡す。

「中、見てみてください」

笑顔と共に渡せば琉華ちゃんは顔を真っ赤にしながら紙袋を受け取ってくれた。可愛らしくて抱きしめたくなるけれど、我慢。全部終わってからたくさん抱きしめてあげるのだから。

「…ぬいぐるみ?」
「はい、でもただのぬいぐるみさんじゃないんですよぉ」
「…あ、足のとこに何か書いてある……。名前?」
「僕と琉華ちゃんの名前です。ずーっと一緒にいられるように、入れてもらったんです」

ロケの時に見つけたお店にはハンドメイドのぬいぐるみを置いてあり、僕をいつも癒してくれた。ハンドメイド独特の温かさがあって、ロケがないのに行ってしまう時も多々あった。
…この温かみを琉華ちゃんにも。ずっと思っていて、でもせっかくなら思い出に残るようにしたい。そう思って。
琉華ちゃんに良く似た可愛らしいくまさんのぬいぐるみに名前を入れてもらった。
琉華ちゃんを見ると、本当に嬉しそうにくまさんのぬいぐるみを抱きしめている。それが可愛らしくて…。

「もう、大好きっ!!」

我慢、出来なくなってしまいました。



(小さくて可愛くて大好きな、僕のお姫様)





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