零式 | ナノ





 姿は思い出せない。






 声も、眼差しも、笑顔も。







 楽しかった事も、悲しかった事も、苦しかった事も。







 何も思い出せないけれど、どうしてかな。







 貴方の墓の前に立つと必ず―――――







「リア〜!!早くリフレ行こうよ!」

 ケイトが墓場の階段で急かしてる。

「今行く〜」

 ああ、こんな顔見せられない。
 歩きながら思いはするんだけど。

 言うこと聞いてくれない。我慢できない。

「あれ、またあの隊長の墓見て泣いてたの?」

「うん…」

「あんまり良い人じゃなさそうだったのに、不思議だよね〜」

「…」

 ケイトを追っかけて墓場を出るけど、涙は止まらない。











 ああ、どうしてこんな泣くんだろ。









 どうしてこんな苦しいんだろ、切ないんだろ。









 私を泣かせる、貴方は誰?








した貴方はどちら様
(溢れ出すそれの意味は、記憶の底に)