零式 | ナノ






 私はマキナ、レムと一緒にほかのクラスからこの0組に来た。
 初めはなかなか馴染めなくて、前から同じクラスだったレムと、その幼なじみのマキナとしか話せなかった。

 0組の、私達三人以外は昔から知っているような雰囲気だった。
 だから、なかなか馴染めなくて。

 でもなんとか頑張って、今は普通にみんなと楽しく過ごしている。輪の中にようやっと入れた、そんな気分だった。

 そして私は、彼を好きになった。

 私の斜め前の席に座っている、金髪の彼。クールだけど、時折見るあの柔らかな表情が温かくて。

 彼の名はエース。

 私の―――――初恋。

 もっと近くで見たい、もっと近くでたくさんお話ししたい。そう思うのは毎日の日課。







 ―――でも。







 私は0組の、エースを初めとする12人の強固な繋がりを越えられない。

 みんなは昔からの馴染みらしい。

 私は?

 私はあくまで“外”の人。話の輪には入れても、その繋がりの中には入れない。

 彼らはまるで家族や兄弟のような、温かくて素晴らしい繋がりで結ばれている。

 そんな繋がりがない私はやっぱり外の人。
 彼に近づこうと手を伸ばしてもあと少し足りない。

 私はあくまでクラスメート。ただの、クラスメート。

 そう自覚する度に、私はいつも涙を抑えられないんだ。








少し手を伸ばせば届く距離
(でもどうしても届かない)



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今回は『雲の空耳と独り言+α』様からお題をお借りしました。
初めての雰囲気でイマイチかもしれないです…
これから頑張って訓練します!