get | ナノ



「寒い…」



曇天の空を見上げ、今日も私は彼を思う。





毎朝の私の日課は洗濯物を干すこと。
量は対して多くはないが、私がこの屋敷に住まわせてもらってる以上はやらなきゃいけない仕事だ。

いつも仕事終わりの彼の

「ありがとう」は
私の原動力にもなってる。

今日はいつもより、洗濯量が多いや…

溜め息をついて
洗濯物を干し始める。


今日も彼は、

声をかけてくれるだろうか。



ぽつ



ぽつ




ぽつ





「あれ…雨…?」


手に雨粒が落ちてきた。



折角干したばっかりなのにな…


慌ただしく、干したばかりの洗濯物をたたむ。


寒いし、服は濡れるし…もうやだなあ…。




やっと片付け終わったら


もう服はびしょ濡れで肌に張りついている


洗濯物もまた洗わなきゃいけない


「あぁ…もう最悪だよ…」








「何が最悪なんだ?」


え、シエルさん!?

後ろを振り向くと、傘を指したセバスチャンさんにシエルさん…。

「い、いや…すいません!」



「謝らなくていい、それより…」


頭を下げた私に影がさした。


見上げると、


「し、シエルさん!?」

彼は私に傘を指していた。

自分が濡れるのも構わずに。


「風邪引いちゃいますよ!」


「……なまえが風邪を引くよりかは良い」


なっ…

シエルさん、それ狙っていますか…?
今物凄く、顔が熱いんです…。

「セバスチャンさんっ…」

どうしたらいいのか、

セバスチャンさんに答えを求めた。
でも、セバスチャンさんは微笑むだけ。

ど、どうすれば…

「なまえ…。」

「は、はい!何でしょうか、シエルさん…」

「こいつばかり見なくて良い。」



セバスチャンを示唆して、

シエルさんは私に言った。


もしかして…シエルさん、やきもち妬いたんですか…?


「なんだ…そんな見るな」

「ふふ…すみません」

微笑んだ私には

分かっていた。

セバスチャンさんを見るなと言った後、

小さな声で、


「有難う」と言ってくれたこと。

本当はやきもち妬きで恥ずかしがり屋なシエルさん。







なんでこんなに彼は
優しいのですか。



アルメリア
(好きでいて良いですか、ずっと)

title/空想アリア




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