病室のベットで退屈そうにしてるのはこの私。
「ねぇ、ユウー…」
「……………」
心地よい風がユウの長い黒髪を靡かせ、壁にもたれかかりながらすやすやと寝ている。
整った顔が勿体ないほど無口で無愛想。
そんなとこも、かっこよかったり…。
ユウが目を覚ましたみたいで私と目が合うと、しばらくそのまま動かない。
すると何故か部屋を出ようとして、直ぐ様私は彼の足を止める。
「ユウ…?何処行くの?」
「………帰る」
心が寂しくきゅんと鳴った。
「ユウ、もう少しここにいて?」
言えなかった私を後押しするかの様に口が勝手に動いた。
ユウの目は私を見据えている。
何を喋ることなく、いきなり彼は椅子を隣に置いて座り始めた。
これって、一緒にいてくれるって答えで良いのかな?
ユウの手が伸びてきたと思うと、私の髪の毛が彼によって動かされて
ふんわりとした甘い匂いが
鼻をかすめた。
何を喋ることなく、
ただ私の目を見ているユウ。
そんなに見られてちゃ恥ずかしくてどうにかなりそう…。
どくり、どくりと
動く鼓動に振り回される私。
ふいに、右手になにかが重なった。
私より少し大きいユウの手。
恥ずかしいのかな?
まるで林檎の様に赤くした顔は、決して私の方を見ようとしない。
つい可愛くて、またくすりと笑った。
「ねぇ…ユウの手って、見かけによらず温かいんだね」
「……一言余計だ」
照れ隠しのようなユウの言葉に、心まで温かくなるような気がした
てのひら
ねぇ、ユウ?
あたしユウが大好きだよ。
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