ff7ac | ナノ




 体調を崩して店のバイトを休んでから一週間。ようやっと体調も回復して出勤する事が出来た。
 店に顔を出したらティファにいきなり肩を掴まれて、


「やっと来てくれた!もう大変だったのよ!」


 とか言われた。そんなに店が忙しかったなんて…。なんだか、申し訳ないな…。


「店忙しかったんだ…ごめんね…」
「え?」
「え?って、え?」


 店が忙しかったから大変だったんじゃないの?
 気になって聞いてみるとティファははぁ…とため息をつく。なんだか疲れている、というより呆れているの方が合っている。


「本当、依存症なんじゃないかって…」
「え、だから、何が?」


 要領を得ないティファの言葉に混乱するばかり。依存症…アルコールとか?
 そんな中、しばらく聞かなかった重厚感溢れる足音が店内に響いた。


「…あ」
「ライナ、体調はもういいのか?」


 ティファの背後に現れた黒い影。紛れもない、クラウドの姿だった。
 ティファは振り返り、腰に手を当て再びため息。どうやら原因はクラウドにあるようだ。
 クラウドが何かの依存症?
 まさか…!


「自棄酒でアルコール依存症…!?」
「何言ってるんだ?」
「ライナ、そうじゃないわよ」
「え、違うの?」


 ティファにそうじゃないなんて言われたが、他に何か依存してしまうようなものが見当たらない。バイクは…趣味だし。


「依存症…か」


 クラウドがボソッと呟く。


「強いて言うなら…」


 クラウドの手が頬を撫でていく。体温は右肩上がりに上昇中。


「ライナ依存症、かな」


 耳元で囁かれ、遂に体温は温度計を破壊した。頬は火がついたように熱いし、これは絶対に顔真っ赤になっているだろう。


「…可愛いな」
「…あ、え、えーっと、その…」
「その様子も、そそられる」


 普段は見せない笑みを見せ、クラウドは私の唇に自分のそれを重ねた。


「…体調管理、ちゃんとしろよ」
「う、うん…」


 そうしてもらわないと、こっちが病気になりそうだ。

 最後にそう付け加えられ、私の中の体温計は彼方に吹っ飛んでしまった。依存症って、れっきとした病気じゃないのかな?
 あとから来たデンゼルとマリンに構っているクラウドを見つめながら、一生懸命クールダウンを心掛ける。


「ライナがいなかった一週間、ずっとこの世の終わりみたいな顔してたのよ」


 隣に来たティファが同じようにクラウド達を見ながら呟く。


「毎日毎日ライナは来るか来ないか聞いて、来ないって言ったらどんよりしちゃって」
「あちゃー…」
「彼女に依存するのは不思議じゃないけど、まさかクラウドがあんなになっちゃうとは考えたことなかったわ」


 でも、それだけ愛されてるって事なんだろうけどね、と付け足されてクールダウンしていた私の体温は再び上昇。
 愛されてる、か。


「次からは体調崩さないように頑張ろう」











(次また体調悪くなったら、あんたのとこまで行く)
(移しちゃうからそれはダメ)