今日は休みをもらった。ティファが「ライナは頑張りすぎてるから」と言って半ば強制的に休みをいただいた、というわけだ。
「うーん…。でもやっぱりいきなり休みって言われても何していいか分からないなぁ…」
最近はお店に行って仕事して、帰ったら寝るというような生活になっていた。そのためか、仕事がない日の過ごし方がいまいち思いつかない。
とりあえず、掃除でもしよう。
思ってライナは早速窓を開け、掃除機のコンセントを手に取った。
―――と。
ピンポーン…。
「朝から誰だろ…?」
時計を一瞥。9時。
回覧板かなにかかな、と手に取っていたコンセントを離していそいそと玄関に向かう。
ガチャリとドアを開けたその先には…
「おはよう」
あ、これは夢だ。
ライナはすぐにドアを閉めようとするが、彼がそれを素早く阻止。
「なんで逃げるんだ?」
「逃げてないよ。…っていうか、何で来てるの?」
ライナが訊くと彼…クラウドは考えるそぶりを見せる…訳でもなく「今日、俺も休みだから」と返す。
「いや、それとこれとは話が…」
「違わない」
「違うって」
「違わない」
あれ、クラウドってこんなに自己主張強かったっけ?
店で仕事しているときにたまに見かけたりしていたが、ここまで自己主張が強いようには見えなかったし、ティファの話でも同様だ。
とりあえず全力でお引き取り願おう。
「いや、今部屋が…」
「部屋がどうかしたのか?」
「…ひどく汚いです」
実際は掃除機かけて机の上を綺麗にすればいい程度なのだが、この際だ。最悪の状態だと主張しよう。さすがのクラウドも入ってこようとは思わないだろう。
「別に、気にならない」
「…え?」
「ライナのひどいなんて、たかが知れてるしな」
実際、そうでもないんだろ?と後付けして悪戯に微笑むクラウドにライナは何も言えなくなる。
「で、でも…」
「分かった。ちょっとだけ待つから、掃除してこい」
さも仕方なさげに言われる。
「その代わり」
「?」
「ちょっと、耳貸して」
言われるがままに耳を近づける。
刹那、耳ではなく頬にキスを落とされる。びくりとしたが、すぐに頬だけでなく体全体が熱くなる。
「これで俺が我慢できるのは5分だ。それまでに掃除を済ませてくれ」
「が、我慢?」
「早くしろよ。あと4分45秒だ」
無表情で急かしてくるせいか、本気でやばい気がしてライナは急いで部屋に戻る。
「…5分経ったら、何してやろうかな…」
そんな彼氏の呟きなんて、ライナは知るわけもない。
それから4分45秒後。ギリギリで掃除が終わり、ライナは無事にクラウドを部屋に入れることが出来た。
「…いい子だな、よくやった」
ご褒美は甘い口づけと、彼と過ごせる時間。
次の休みも、こうして一緒に過ごせたらいいな。
ある休日の話
(来週は、仕事…だよね)
(休みだ。…また会いに来るかな)