RKRN小説/短編 | ナノ
作品


 戦場の天使は心を癒す

戦場の真ん中だというのに、あいつは未だに敵味方関係なく助けている。
そんなことをしてなんの利益になるのか分からない。
分かりたくもない。

そらみろ、だから敵に魅惚れられるんだ…。


〜仙蔵side〜




予算が足りなくなったら、必要以上に他人を助けなくなるだろうと思った。
他人の命よりも自分自身の命を大切にしてほしい。
良い案だと思ってこれでもかというぐらい予算を減らしてやった。
それなのに。

あいつは薬草を育てるために自分の金も時間も捨ててしまった。


〜文次郎side〜




朝顔も好きだ。
基本的に植物は好きだ。
自然の世界で植物ほど強く美しいものはない。
加工すれば本にもなるし、薬にもなる。
だが忍冬だけはどうしても好きになれない。
舐めたら甘い味がするあの花は童をあやしているように見えて
白い花弁のあの花は雪に埋もれる羽根に見えて

…嗚呼嫌だ。もう考えるのは終いにしよう。


〜長次side〜




私たちが忍者のたまごとして戦場を走りまわっているその瞬間、世界の何処かでも"戦争"というものが起こっているらしい。
お使い帰りの茶屋で南蛮人に見せてもらったあの世の楽園の絵図。
一面の花畑に澄み切った碧い空。そして一際輝く翼の生えた女性が優しい表情で笑っていた。

その天使はまるでいさっくんのようで、なんだか心があったかくなったんだ。


〜小平太side〜




今日も同室者のあいつはいくつもの不運を乗り越えていた。
その度にあいつは独り耐えてさも何事もなかったかのように笑っている。
不運とは、幸が欠除された運のこと。
大黒柱のない家が倒壊するように。翼のこわれた鳥が地面を這うように。

それなら俺があいつの幸になれば良いだけのこと。


〜留三郎side〜




誰もが殺気立つ合戦上の中。
ふいにやわらかい、明らかに戦とは無関係の気配を感じる。
こんな気配、こんな事態に感じることは初めてだった。
その時だけは自分の任務を別れて何故か気配の持ち主を探していた。
ふと、自分の部下を手当てしているあれは

まさに天使だった。


〜雑渡side〜



⇒END

まさかのいさっくん総受け。管理人どうした??


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