メランコリニストの日常 | ナノ
峯田
イヤホンをしてポケットに手を突っ込み、猫背で前へ前へと進む。
かったるいと思いつつも学校には行かないとヒョウあたりがやたらとメールしてくるから。
はぁ、と一つため息をつけば隣からも同じようなため息が聞こえた。
ちらりと隣を見ればバスケ部のたしか…みっ、み……み、なんとかくんがいた。
私の視線に気づいたのかなんとかくんはこっちを見てへらりと笑った。
軽そうな笑顔だ、と思った。

「おはよう、みょうじさん」
「…はよ」
「何の曲聴いてるの?」
「え…ロック系、とか」
「みょうじさんロックとか聴くの?」
「まぁ…ラップとか、好きだから」
「そうなんだ。…はぁ」
「・・・」
「…はぁー」
「…」
「はああー」
「うるさい。」
「ええええ!?そこ聞いてくれないの!?」
「えっと…み、みっ…み、なんとかくん」
「峯田ぁ!俺峯田ね!?」
「あー…峯でいいか。で?」
「え?」
「…はぁ、」
「えええええ!?」

思い切りため息をついて峯をほったらかして校門を潜る。
後ろから話しかけてくる峯をシカトして教室へ急ぐ。
教室の扉を開けばやはり待ち舞えていたかと目の前のヒョウを押しのけて中に入る。
(ちなみに峯も同じクラスだったらしい。ヒョウを見て驚いて転んでた。)

「はよー鷹山」
「おはよ。眠たそうだね」
「んー…寝る」
「1時間目くらい受けてから行きなよ」
「…屋上いくー」
「はぁ…なまえ、これ持って行って」

そういって手渡されたのは鷹山のジャージだった。
首を傾げて鷹山を見れば微かに微笑んでいた。
掛け布団にしろと?よ聞けばそのまま頷いた。
ありがとうと言って教室から出ればヒョウと峯が寄ってきて鬱陶しかった。

「どっか行くの?俺も行きたい!」
「ヒョウ邪魔。屋上」
「えっ、みょうじって不破と知り合いなの!?うわーマジで!」
「峯うるさい。邪魔」
「俺も行くー!俺も行く!」
「ヒョウ、さかまっきーに怒られんよ」
「え、じゃあ俺…」
「峯もバスケ部でしょ」
「「うっ」」
「じゃあね」

二人の間を割って屋上へと足を進める。
階段を一段上る度に睡魔が襲う。
ぐらりと体が前に傾いた。丁度、踊り場の手前だったせいか、そのまま踊り場に倒れてしまった。…そこからの記憶がない。