メランコリニストの日常 | ナノ
バスケットボール
いつの間にか静ちゃんのメアドも入ってた。

今日、部活みに来てよ。というヒョウの一言で私は今、体育館の前にいる。
二人はと言えば先に行ってしまった。

「うぇー…」
「よう、お前なにしてんだ」
「あ、ヤック。見学」
「体育館開けてねぇのに?」
「今から」
「開けねぇのか?」
「怖い、めんどい」
「お前らしいな」

そういって私の頭をくしゃりと撫でた。
うーと唸ってみればははっと笑ってヤックは体育館を開けた。

「ボール、ない?」
「あ?…あるぜ」
「貸してー」
「できんのか?」
「まぁ…でも触るだけ」
「やれよ」
「さかまっきーに怒られる」
「呼人か…ま、賢明な判断だな」

しゅるるる、と人差し指の上でボールをまわせば器用だな、と言われた。
ふふふ、と笑えばヤックは吃驚したような顔をしていた。

「なに」
「笑えるのか、お前」
「失敬な」
「もっと笑えよ」
「めんどくさい」
「あぁ…あぁ、なるほどな…」

なんだか可哀想な者を見る目になったヤックにボールをパスすれば後ろから何やってんだ、という声がした。
振り向けば呼人こと酒巻せんせーの姿。
ちわーと言えばおう、と言われた。

「何してんだ?」
「ボールでお遊び」
「なるほど」
「納得すんなよ、呼人」
「シュートしてもいい?」
「靴、ねぇだろ」
「ある。」

ドヤ顔つきで自分のバッシュを見せればさかまっきーもヤックも驚いたような顔をしていた。

「いーでそ」
「お前…バスケやってんのか?」
「やってた。足ぶっこわれた」
「おぉ…なんつーアバウトな」
「いーの。見れるし、聞こえるから」

ニヒヒと笑ってスカートの下にジャージをはいて、ふくらはぎあたりまで折る。
それからスカートを脱いで、ブラウスを脱ぐ。
下に黒のTシャツを着てるから、なんの問題もない。
いえー、と言えばヤックは何も返してくれなかった。

「あれ、なまえちゃん」
「あ、あっくん」
「あっくん!?」
「そう、さかまっきー。あっくん」
「何してんの?」
「バスケ」
「えぇ…」
「お前できるのか?」
「まぁ」

ボールをつきながら適当に返事をしていれば鷹山がやってきた。
私の姿を見てえ、と言っていたけど笑ってかえした。

「よ、」

ドリブルをついて、まずはレイアップ。
キレイにリングを潜って、あぁよかったと一息ついた所でヒョウがやってきた。
ヒョウも鷹山と同じようにえ、と呟いていた。
今度はフリースローのラインに立って打つ。
リングにあたらずにネットを潜った。
久々の感覚にふふ、と笑えば皆そろってあ、と言った。

「え」
「笑った」
「なまえが」
「笑った」
「笑うよ」
「見たことねぇし」
「今見た」
「まぁ…」
「次、スリーポイント」

いけるかな、と思ったけどなんとか成功。
ひひひ、と笑えば皆驚いていた。
だけど、鷹山だけはちょっと笑っていた。

「次はダーンク、いけるか、なっ!」

ガコッ、と大きな音を立ててダンクシュート。
ちょっと危なかったけど、なんとか入った。
腕が鈍ってなくてよかった、と思っていたらいつのまにかいろんな人が居た。

「うぇ、」
「お前すげぇな…」
「うん、あんなキレイなスリー、初めて見た」
「ダンクできるとか…脚力ヤバイだろ」
「…ひひっ、凄いっしょ」
「なまえ!なんでダンクできるって言わなかったんだべ!」
「だって、ヒョウ嫉妬する」
「しな、い…!」
「うそつきー」

ヒョウの頭を叩けばあいた!と言ってた。
女の子に叩かれたくらいで、それはないでしょ
タオル、どこだっけと呟けば横から腕が伸びてきた。
え、と目の前のタオルを見て、差し出した人を見れば鷹山だった。
ありがと、と言えばなんで、と言ってきた

「なんで、バスケ…」
「気分。今日は調子いいから」
「でも、」
「痛くないから。それに、もうやんないから」
「…」
「ありがと、鷹山」

心配してくれた鷹山の頭をポンポン、と優しく叩けばちょっと泣きそうな顔をした。


なんか泣きそうだった

心の中で謝ってみた。
思ったとおり、意味はなかった