もやもやする、しんどい。面倒臭い。 そう、親友であり幼馴染の光に言えば、重々しく口を開いて「なまえ、」と私の名を呼んだ。 なんだよう、と白々しくもわりと丁寧な返事を返せばきゅっとほっぺをつままれた。 痛い、地味に痛いぞ。と恨めしそうな視線を送れば今度はぱしんと軽く頭を叩かれた。
「いった、」 「やかまし。ってか、何やねんしんどいて」 「…しんどいんやもん」 「…学校とミーハーか」 「おん…」
ぐたっと体を机に押し付ける。私の髪の毛を何となしに弄る光。 なぁ、アンタ部活行かんでええん。
「ええわけないやろ」 「ほな、行きぃや」 「俺かてしんどいんや」 「うわー、ズル休みや」 「お前もやろ。それに、学校来とるだけええやろ」 「それもそやね」
ふふふ、と笑えば光も小さく笑った。 しんどいのぅ、なんて言ってみれば呆れたような顔をして私の髪の毛をぐっしゃぐしゃにした。 「何しよんねん阿呆。」「お前のほうが点数悪いやろ」「げっ、何で知ってん」「俺に知らんことはない」「うわーうわー」 なんて、他愛もない会話をポンポンと繰り広げながら未だに私の髪を弄る光の手を、片方とる。
「…ひか、手、でかいな」 「お前がちっこいねん」 「んな阿呆な」 「ほれ」 「…ほんまや」 「やから阿呆やねん」 「うっさい!」
ぺち、と光のほっぺに手を当てれば鼻で笑われた。 きゅっと鼻をつまめば同じように私の鼻もつままれた。 う、わ、息苦しい。
「っぷは、ひかっ」 「お前……口で息せぇや」 「あ…」 「阿呆」 「うぇー…」
やっぱり光には勝てへんなぁ、と呟けば当たり前やろとドヤ顔付きで返ってきた。 ムカつくわーと棒読みで返せばするどいチョップが脳天にクラッシュ。 痛い、と横目で睨みつつ訴えれば鼻で笑う光。ほんま嫌な男やで。 それでもこないな男好きな私も大概人のこと言えんのやろうな。 あ、謙也さんがものっそいスピードでこっちに来よる。 どうせ怒られるんやったら光と一緒に怒られたいな。 マネージャーも、学校も、女の子も、ほんましんどいわ。 消えてなくなればええのに。
息苦しいのがちょうどいい
なんや言うて、この状態から抜け出さんのはやっぱり全部好きやからやと思う。
------------ 企画、睫毛にキス様に提出。
120923
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