「ゆーじろー」

名前を呼ぶだけでも心が痛いくらいに動いて緊張する。
ぬーがや?と優しい声色で返ってきた。ああ胸が苦しい。

「ゆうじろー」
「だーから、ぬーが?」
「…にーぶい」
「寝れー」
「いや」
「いちゃし」
「…なんでもねーらん」
「教えれー」

腕を枕に寝ようとする私の腕をひっつかんで軽くゆする裕次郎。
なんでもないと頑なになっていたらがっしりと頭を掴まれて顔を上げさせられた。
痛い、と言えばわっさんと素直に謝る。
ああ畜生、申し訳なさそうな裕次郎も大好き。もう本当なんでこんな好きなんだろう。
ぼーっと裕次郎の顔を見ていれば、裕次郎もじーっと私の顔を見てくる。
ちゃーしたーと気の抜けただるんだるんの声で聞けばやーの真似やっさーと明るく笑う裕次郎。かっこいいなぁ。

「やー、じゅんにおかしいさー」
「ひど。そんなことねーらん」
「いーや、おかしい。いつもはもっと笑ってるさー」
「そう?」
「うん」

酷く自信満々な顔でこくりと深くうなづいた。
やー、変な顔。そういって裕次郎は私の鼻をきゅっとつまんだ。
息ができなくて口からぷはっと息がでた。
ゆーひりょー、はにゃして。変に高い声でそう言えばケラケラと笑いながらも離してくれた。
あ、裕次郎の手おっきい。それに、笑顔、可愛い。

「…ゆーじろぉー」
「だぁーかぁーら、ちゃーしたんばぁ?」
「…裕次郎が、」
「わん?」

そこまで言って、小さく息を吸いなおす。
小首を傾げて話の続きを待つ裕次郎。そんな仕草をしても好きだなぁ、なんて思う私は相当重症なんじゃないだろうか。でもまぁ、裕次郎のことなら別に、重症でもいいかな。なんてね。

「ゆーじろーが、かっこいいから」
「…」
「…緊張、するんさー」
「…ふらー、」

ぱこっと軽く私の頭をはたいて裕次郎は目深にキャップをかぶり直した。
髪の隙間から少し出た耳が赤くなっているのが見えて、私は軽く笑った。
「ぬーんち笑っちゅーさー」と私の方を軽く睨む裕次郎に「やーが可愛いからやっし」と言えば今度はより一層顔を赤くして「ふらー!」と怒鳴った。
そんな姿にすら愛しさを覚えて、裕次郎と名前を呼ぶ。

「…ぬーが」
「じゅんに、しちゅんさー」
「なっ、」
「裕次郎、しちゅん」
「…なまえ、」
「ぬーが?」

ふふふと頬杖をついて笑っていれば腕を引かれて体が近づく。
ガタッ、と私たちの間の机に足がぶつかって地味に痛い。
けど、そんなことお構いなしに裕次郎は私を抱きしめる。
耳元で、裕次郎が囁いた。

今年の夏も、もう終わる。

ぶっきらぼうな抱擁
わんは、かなさんどー

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甲斐くん好きです…
甲斐くんが好きです…
あと似非うちなーぐちでごめんなさい
タイトルは茫洋様より
120917

ちょっとしたうちなーぐち紹介
・ぬーが→なんだ
・いちゃし→どうしたの
・にーぶい→眠い
・ふらー→馬鹿
・しちゅん→好き
・かなさんどー→愛してる
 

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