「ハッピーバースディ、樹っちゃん!」

パチパチと拍手をしながら私たちが力を合わせて作った不格好な、けれど愛がこもったケーキを目をまん丸くしてドアノブを握り扉を開けた状態のままの樹っちゃんの前に持っていけば、ハッとした顔をし、そして破顔した後にふぅっとロウソクに灯る火を吹き消した。
樹っちゃんは嬉しそうな、恥ずかしそうな表情で私たちに「ありがとうなのね」と告げた。
それを境にわっと騒がしくなった部室の隅で密かにほくそ笑む。
樹っちゃん、驚いてくれてよかったな、と思うのは至極当たり前のことだと思う。
だって、樹っちゃんには何も知らせていなかったから。
もう気づいてはいるだろうとは思うけれど、私たちは樹っちゃんに内緒で誕生日の計画を立てていたのだ。
発案者は私。皆は、すごくキラキラした顔でそれいいね、とサプライズに対して意欲てきたっだ。
その甲斐あってか、1週間前から密かに計画していたサプライズは見事成功し、今に至る。
みんなに囲まれて嬉しそうに笑う樹っちゃんと、カチリと目があった。
視線が交わって数秒、樹っちゃんはいつものふわりとした笑みを浮かべてこっちにおいでと手招きをしてくれた。
それに従い、樹っちゃんに向けて駆け出す。
ぎゅっと抱き着けばふわりと香る海の匂い。それに混じって、少しだけ、汗の臭いがした。
独特の、大好きなその匂いを鼻腔いっぱいにふくみ、僅かに顔を綻ばせれば樹っちゃんは汗臭いのね、と言いながらも引き剥がすことはせず、されるがままになってくれている。

「樹っちゃんおめでとう!」
「ありがとうなのね」
「樹っちゃん、大好き!」
「ふふふ、俺も好きです」
「樹っちゃぁあん!!!私樹っちゃんが生まれてきてくれてすごく嬉しいよ!」
「僕も!僕も嬉しい!」
「俺も、嬉しい」
「俺たちだってそうだよね」
「当たり前だろ!」
「そうだね、俺もそう思う」

全員で樹っちゃんの好きなところを上げて誰が一番樹っちゃんが好きか、だなんて話し合って言い合って。
ドンチャン騒ぎの様子を暖かな微笑みを浮かべて見守る樹っちゃんの隣にゆっくりと腰掛けて樹っちゃんの肩に頭を預けて二人でその様子を見守る。
頭上から時折聞こえるかすかな笑い声を聞きながらサエの「樹っちゃんは俺のパートナーだからね」という誇らしげなセリフや、「樹っちゃんは六角のお母さんみたいなものだからね、大事にしないとダメだよ剣太郎」なんていう亮の声を聞いて、樹っちゃんの顔を仰ぎ見ればいつの間にこちらを見ていたのか樹っちゃんと目があった。
お互いにふふふ、と笑い幸せを噛み締める。

「ねぇ、樹っちゃん」
「どうしました?」
「あのね、樹っちゃんが大好きなんですよ」
「はい」
「樹っちゃんのね、優しい所もカッコいいところも、可愛いところも。たまにドジっちゃう所とか、純粋な所とか、じつは熱い思いを持ってたりするところとか」
「うん、」
「全部含めて大好きなんだ」
「ふふ、はい」
「あのね、希彦さん」
「なんですか、なまえさん」

「誕生日、おめでとう。これからも、よろしくお願いします」

幸せの色に染まる頃

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久々の更新と一日遅れの失態…なんたることでしょうか…
しかもグダグダとすみません。あと自分で何書いてるかわからなくなりました。樹っちゃん大好きです。樹っちゃん、誕生日おめでとう!
樹っちゃんのあさりのお味噌汁が飲みたいです。おすましでもいいと思います。
でも鮭おにぎりも食べたいなぁ。私の食欲は尽きることがないのでしょうか。
タイトルは秘曲様より

120901
 

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