「貴方って顔によらず甘いものが好きなのね」

俺の目の前に優雅に座り、愛らしい人懐こい笑みを浮かべた、俺と同い年くらいの女の子はそう言った
思わず「ほっておいてくて」と言いたくなったが唾と共に飲み込み、鋭い視線だけを返せば彼女はキョトンとした顔のあと、あぁ、と一声上げてまた笑んだ。

「馬鹿にしたわけじゃないの」
「………」
「ただ、私と正反対だから。なんだか仲間のようで、嬉しくて」

そう言って、彼女―みょうじはにっこりと効果音が付きそうなほど深く笑み、私、甘いものは苦手なのと溢した。
その言葉に対し、俺はそういう事か、と納得した。

彼女の容姿は、いかにも女の子らしい女の子で。
ケーキやクッキーなど、洋菓子が好きそうなイメージがある。
かくいう俺は堀深い顔に高い身長。
甘いものなど一切受け付けず、ブラックコーヒーを好んで飲みそうな顔。
と、昔ある友達に言われた記憶が微かに残っている。

和菓子ならまだ、大丈夫なんだけど。と苦笑した彼女に思わず笑みが漏れた。
くすり、と笑えばみょうじは吃驚したような顔をして、「天根くんて笑えるのね」なんて失礼なことを言ってきたから今度は少し怒ったような目をして見れば慌ててごめんなさいと謝った。
あまりの変わりように、俺はまた笑った。
そんな俺を見て、みょうじは眉間に少し皺を寄せて「からかったのね?酷いわ」なんて言うのがまた面白くて。
くくく、と喉を鳴らして笑えばみょうじははぁ、とため息を一つついて困ったように笑った

「天根くん、思ってたより意地悪なのね」
「…そうか?」
「あら、人を笑っておいてよく言うわね?」

なんて言って、今度は二人して笑った。

「天根くん、」
「ん、」
「私、天根くんのこと好きなんだ」
「は、」
「ふふ、まぬけな顔ね?だから、私と付き合ってくれないかしら」

みょうじは恥ずかしがる事もなく、臆する事もなくにこにこと笑って俺に言った
いきなりの事に戸惑う俺に、今一度「私と付き合ってください」と今度は真剣な表情で言うみょうじに俺はため息をついた。

だって、その言葉は


「…俺が、言いたかった」
「ふふ、知ってるわ。」
「…みょうじ」
「何かしら、告白の返事?」
「…俺から、もう一度、言ってもいいか」
「…ずるいわね、私が先に言ったのに」
「みょうじ、」
「いいわ…いい返事が貰えるなら、いくらでも聞く」

ああ本当に、困った女だ

「俺と、付き合ってください」
「もちろん、喜んで」

言ってしまえよ
(いつかきっとが、遂に叶った)

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初ダビデくん!
ここ最近ダビデ熱きすぎて自分でも驚く程ダビデ。
しかしこれは本物でしょうか。
タイトルはフライパンと包丁様より

120726
 

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