思ってたのと違う、飽きた、こんなはずじゃなかったと別れてから、あるいは倦怠期に入って言う人は皆、本当は相手に“恋”をしたんじゃなくて“恋をした私に恋をした”のだろう。
始めは彼のことが、アイツのことが好きだった。
でも付き合い始めて何か思ってたのと違った、飽きた。
どう考えても自分に恋をしている痛々しい醜い者にしか思えない。

でもそう言うやつこそ誰かしらに告白され、付き合い、そして別れてていつもと同じように、いつもと同じノリでこう言うのだ。「思っていたのと違った」

馬鹿らしいとは思わないのだろうか。
それともただ単に気づいていないのだろうか。
私の予想では後者であると見た。否、後者以外に考えられない。

そもそも恋というのは特定の異性に強くひかれることであり、また、切ないまでに深く思いを寄せることである。「―に落ちる」「―に破れる」という使い方をする。
思っていたのと違うと述べる君は本当に恋に落ちたのだろうか。
本当に恋に破れたのだろうか。

答えは否、君はもとより恋などしていないのだ。
しかし間違えないでくれたまえ。
これは私個人の意見であって君に押し付けたいわけではない。
私は、“君はまだ恋をしていないのだ”と思うだけである。
意味は、分かるな?

「…まぁ、」
「そう、それはよかった」
「ほんで?」
「ん?」
「俺が恋してへんのやったら、これなんなん」
「知らないな」
「無責任やな」
「おっと、それは言わない約束だろう?」
「せや言うたかてなぁ、」
「それに、私はさっき言ったはずだよ」
「あ?」
「あくまで“私個人の意見である”とね」
「…」
「まぁ、せいぜい悩めばいいんじゃないかい」
「ちょ、」
「君は、財前くんは、誰とどうなりたいのか。悩めばいいさ」
「…」
「私は愉快そうに、それこそ気味が悪いと思われるまでの笑みを浮かべて君をじっとり観察しておくから、ね?」
「…悪趣味やな」
「ふふふ、ありがとう」

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これは一体なんだ

120722

 

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