「ゆーくん、」

ベッタベタに甘えた声で俺の名前を呼ぶこいつは俺の幼馴染でもあり恋人でもあるなまえ。
いつもはキレのいいツッコミで俺等を笑かしてくれんねやけど、たまにこうやってめっちゃ甘えてくる。
恋人になるまでは、甘えたくても甘えられんからって枕に甘えとったって前に聞いたことがある。
そんな姿を想像しただけでも俺は心が満たされて、柄にもなく幸せな気分になる。

「ゆーくん…?」
「ん?あぁ、どないしたんや」
「んー…」
「今日、甘えたい日なん?」
「ん、ゆーくんぎゅう」
「あー…かわええな」
「ふへへー…ゆーくん、もっとぎゅーってしてー?」
「おん、もっとぎゅーってして、チューしたるわ」
「ちゅー?」
「ちゅー」
「ふふ、」

ちゅー、と言って愛らしい笑みを零し、猫のように体を縮めて俺に擦り寄って温もりを探すなまえに愛しさを感じる。
ふふふ、と笑って幼子のような笑みを浮かべるなまえはいつになく可愛らしく、そして儚いものに思えた。
よしよし、と頭を撫でれば破顔して満面の笑みを浮かべ、ぎゅっと抱きしめれば安堵したように息を吐き幸せに浸り、優しくキスをすれば幸せに満ち溢れていると言わんばかりに目を輝かせてありがとう、大好きと零すなまえが何よりも大切で、それでいて愛しい。
つい先日まで母親のような温かな笑顔で皆を安心させていたコイツとはまったく別人のような気がする。
だけど、こういった二面性もまたなまえの魅力の一つで、今よりもっと深みに嵌っていく。
其処まで考えたところで俺は、やっぱりなまえにベタ惚れなんやな、と小さく苦笑を漏らす。
未だに俺の手を掴んで、大きさ比べをしたりと遊んでいるなまえの頭を撫でて思い切り抱きしめ、愛しとると囁けばなまえは目に涙を浮かべて私も、と言葉を紡ぐ。
それを聞いて今以上に腕に力を込め、死んでも離したらん。と青臭い科白を呟いて深く甘いキスをすれば泣きながらありがとうとなまえは言った。

指先から伝わる

(愛だの恋だの言う前にキスで口を防いでしまえ。)

120427
 

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