強引な君 | ナノ



長かったHRの終わりを告げるチャイム
起立、と凛々しい誰かの声と共にゆるゆると皆が席から立つ
礼、さようならといつもの如く挨拶をしたらざわざわと騒ぎ出す教室
散り散りになってゆくクラスメイト、ちらりと横を見れば先日告白した彼女、なまえ
あのあと、返事は明日聞く、今日は考えてくれと一言言いわしわしと頭を撫でて帰った
我ながらなんてことをしたんだ、頭が痛い
思わずため息を漏らすとびくりと震えた彼女の肩
見れば不安気に此方を伺っている
僕は彼女の頭を撫でて、またあとで、と彼女にだけ聞こえるように囁き教室を出た

ぷらぷらと足をぱたつかせる
もう掃除も終わって、今教室にいるのは私一人
暇だから貞夫が来るまで小説を読もうと栞を挟んでいたページを開いたと同時に
教室の扉も開かれた
待ち人来る、とでも言うべきなのだろうか
あまりのタイミングの良さに思わず心臓がはねる

「待たせたな」
『ううん、気にしてない』

いつも通り、貞夫は自分の席に座り体をこちらに向ける

「返事を、聞いてもいいか」

いつもより固い声色に私もつられて緊張する

『あの、ね』

静かに、ハッキリとした口調で話しかける

『私達、小さな頃からずっと一緒で』
『転んだり、泣いたりしたとき貞夫はずーっとよしよし、って』

ちらりと貞夫を見れば、
一字一句逃さぬように、真剣な眼差しで私を見据えてる

『頭撫でてくれたよね。』
『私ね、ちっちゃなときから』

羞恥に、顔を赤らめる
頬が暑い

『貞夫がっ…だい、すきぃ、』

言い切った
恥ずかしいけれど、嬉しさの方が強くて涙が止まらない
好き、好き、大好きと何度も何度も譫言のように呟いては涙がぼろぼろと溢れて床に落ちる
いつのまにか、貞夫に抱き締められていて
その温もりが優しくて、嬉しくて
私には届かないものだと思っていた
何回も、何十回も繰り返す甘く、幸せな言葉

「なぁ、」
『なに』
「僕が好きなんだな」

涙がおさまってきたころ
ガッと肩を捕まれ真っ直ぐと見つめられ、問われた

『好き、だよ』

そう言うと、貞夫はまた、優しく抱き締めてくれて
耳元で聞こえた安堵から来た深い溜め息

「…離せと言われても、絶対に離さないからな」
『うん』
「本気でいやがらないと、離さない」
『本気で嫌がったら離してくれるの?』
「…離さない、」
『ふふ、なにそれ。矛盾してるよ』
「とにかく、」

唇が触れそうな距離
もうあと、1センチもないと思う
ギリギリ触れない、中途半端な距離に、カッと顔が熱くなる

「何があっても、離さないからな」

いい終えると、優しく唇が重なる
短くて、優しくて
小さなリップ音が鳴った

「それと、」
『なぁに』
「…あい、してる」

そう言って真っ赤になった貞夫
可愛くて、愛しくて
思わずふふ、と笑ってしまった

「なに笑ってる」
『ごめんね、嬉しくて』
「そう、か」

また赤くなった貞夫
本当に可愛くて
大好き

『ねぇ貞夫』
「なんだ」
『ぎゅーってして』
「あぁ」
『ちゅーして』
「あぁ」

『いつまでも、私を愛してね』
「当たり前だ」

どちらともなく、ふふふと笑って何度も優しいキスをする
ちゅっちゅと音がなる度に、なんだか楽しくて
それがまた嬉しくて、可笑しくて
下校を促す放送が流れるまで、私たちは何度も何度もキスをしていた

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ぉぉお疲れさまでしたぁっ!
淀橋に始まり淀橋に終わった淀橋以外ほっとんど出なかった淀橋連載
今まで、読んでいただきありがとうございました!
これにて完結いたします!
あとがきにて裏話やらあるやもしれません
もしよろしければそちらも読んでいただけると幸いです!
では、本当にありがとうございました!
タイトル一部改変
俺が→君が

12.02.19


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