強引な君 | ナノ



『淀橋、』

くるり、振り向くと其処には愛しい彼女
しかし表には出さない、出せない

「…なんだ、」
『なんで淀橋は、皆の嫌がる写真しか撮らないの?』

純真無垢な彼女の疑問。
僕とお前は違うから、どうしてか、なんて分からないんだろう

「知ってどうするつもりだ」
『ん?別に、知りたいだけ』
「僕は人気者が大嫌いだからな。」
『ふうん』
「奴等の悲しみにくれる顔を見ると、優越感に浸れる」
『そうなの?』
「そうだ」

かたり、
椅子を引く。
彼女の席に座る

かたり、
椅子を引く
彼女が僕の席に座る
ふ、と笑いが漏れた

『ねぇ、淀橋』
「なんだ」
『最近、よく笑うようになったね』
「は、」
『私、笑ってる淀橋、好きだよ』

ふわり、花が舞いそうな笑顔を咲かせる

「笑った、僕だけか?」
『え?』

声が小さくて聞き取れなかったのだろうか
小首を傾げて、此方を見据えるみょうじ

がたん

音をたてて、椅子が倒れた

『淀橋?』

今度はハッキリと、聞こえるように。
近づいて、
抱き締めて
耳元で囁いた。

「笑った僕だけが好きか」

『淀、橋』

耳まで真っ赤にさせてふるり、と震えた

「なまえ、僕の膝の上においで」

囁いて、離れる
なまえはゆっくりと立ち上がり、椅子の横に立つ
僕は椅子に座り彼女の手を引いた

「来い」
『っ、貞夫』

真正面から向かい合う僕ら
僕の膝に跨がるなまえは、恥ずかしそうに俯く

「なまえ、」

ゆるりと顔をあげる
真っ赤な顔で、目を潤ませて

可愛い、

「可愛い、な」
『っ、』
「なまえ」
『な、に』

「僕の彼女になれ」
『な、』
「反論は、させない」

ちゅ、と可愛らしいリップ音が
僕らだけの教室に響いた
深く口付ける
息が続かなくなったんだろう、なまえの口が開いた
隙を与える間もなく舌を捩じ込む
歯列をなぞり、舌を絡めたり、吸ったり
時折漏れる甲高い矯正に悦びを感じた
口の端からどちらのかも分からない唾液がたれる

ぼたり
床に落ちる

ぼたり、ぼたり
制服に落ちた
彼女のスカートに、落ちた
一頻り絡めあい、そろそろ酸欠だろうと口をはなす
ちゅぱ、厭らしい音がした
どろり、口の端から涎が垂れた
くすり、僕が笑った
僕の口と君の口に繋がるキラリと光る糸が、ぷつりと切れる
唾液を飲み込み、肩で息をする彼女を抱き締めた

「好きだ、」

未だ息が整っていないのだろう、荒々しい呼吸音が聞こえる

「たまらなく好きだ。愛している」

ひゅう
彼女は息を吸い込んだ
あぁ、言ってしまったのか



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