少女は泣いた

 ぽつぽつと地面とわたしを濡らす雨は冷たくて身体を縮こませた。
肩を抱いて蹲り顔を埋めて耐え忍んでいれば不意に肩や頭に当たるが止んだ。
顔を上げれば綺麗な銀髪で変わった目をした男の人がわたしを見下ろしていた。





 任務で外へ出た。
街の様子は相変わらずで何とも言えないが俺に支障がないことは確かであった。
不意にぽつぽつと降り出した雨に、ターゲットが持っていた傘をさして雨をしのぐ。あまり気持ちのいい物ではないが、ずぶ濡れになって帰るよりは良いだろう。
 行く宛もなく歩いていれば路地裏にキラリと光るものが見えた。
ゆっくりと足を進めてその正体を見れば小さな子供であることがわかった。
キラリと光ったのはどうやらこの子供の髪の毛らしい。
くすんだ金はそれでも美しい。
傘を傾けてその子供を雨から遮ってやれば子供は顔をあげて俺を見上げる。
ラベンダーの目は力強く俺を見据える。こちらもとても綺麗な色をしていて、思わず感嘆の息を漏らした。

「…お前は、名はなんと言う」
「なまえ」
「そうか」
「あなたは?」
「…リゾット」
「すてきね」
「お前、」

 俺と一緒に来い。
腕を掴んで無理やり立ち上がらせる。それでも俺の腰当たりまでしかない身長に戸惑いながらも小さな身体を抱き上げた。
驚きで目を丸くしているなまえは近くで見ると綺麗な肌をしていた。
子供の割に泣き喚いたりする様子もなく、俺はまたそこに好感が持てた。子供の泣き声は鬱陶しくて嫌いだ。
暖かくて柔らかい四肢が俺を包み込む。細い腕が首に回され俺にしがみつく形となる。

 なまえ、と何と無しに名前を呼べばん、と小さく唸って俺の肩で泣いた。
ああ、俺は一体何をしているんだろうか。

少女は泣いた


 組織もなにもかも、もはやどうでもいいとさえ思ってしまう程、少女に愛を捧げてしまった。

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