婚約

嬉々として私に飛び付いてきた仗助くんを支えきれずに転んだ。
ドスンと鈍い音がして尻餅をついたところで仗助くんは慌てて私から離れてごめんね、痛かったねと仕切りに謝ってきた。
大丈夫ですよと笑って言えば仗助くんは安堵の笑みを漏らして再び私に抱きついた。
一体どうしたのだろう、と問いかけて見れば仗助くんは今よりもっと、更に笑みを深くして声高々に宣言をした。

「おれッ、#ひらがな#ちゃんと結婚するゥ〜!」

きゃー!言っちゃった!と言わんばかりの様子である。
小さなもみじの手を自分の頬に当て、顔を仄かに染めてふにゃふにゃの笑顔を浮かべる仗助くんを見て私は息が止まった様に思えた。
唖然として腹に乗る仗助くんを見つめていれば少しずつ不安気な顔に変わり、やがては目に涙を浮かべて嫌だった?ごめんね?とオロオロしだす始末。
私は漸くハッと意識を戻して仗助くんを宥める。
嫌じゃないよ、嬉しいよ。吃驚しちゃっただけだよ。
頭を撫でたり抱きしめたり、頬を包んで目を合わせて言ってやれば安心した様にまたふにゃふにゃの笑顔を浮かべてえへへと恥ずかしそうに笑う仗助くんが可愛くて可愛くて。
ぎゅうっと抱きしめてわしゃわしゃと頭を乱暴に撫でるときゃー!と甲高い声を上げて笑う。
よく笑うなぁ、なんて思いながらありがとう、大好きだよ。と言って微笑んだ。
目をぱちくりと為せたあと、柔らかな笑みを浮かべた仗助くんはその顔のまま私に大好きと言う。

「おれも、#ひらがな#ちゃんだいすき!」
「いっしょだねぇ、おそろい」
「うん!#ひらがな#ちゃんとおそろい、うれしい〜」
「うふふふ、わたしもうれしいよ」

いつの間にか一人称がおれに変わった彼も可愛くて大好きだ。


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