鈍痛

ごちん!と音を立てて後頭部が床と接触した。ものすごく痛い。
だけど仗助くんを守れたのならよしとしよう。
いたた、と頭を擦りながら仗助くんを見れば目に涙を溜めて一生懸命に私の頭を撫でてくれた。
大丈夫だよ、と言って笑えばついには泣き出してしまった。しかしながら手の動きは休めず、ぐすぐすと泣きながら頭を撫でてくれる。
ありがとう、仗助くん。もう大丈夫。と言えば今度は私に抱きついてしきりにごめんと謝ってきた。

「だいじょうぶ、じょおすけくん。私、もういたくないよ。」
「ぐすっ…でも、#ひらがな#ちゃん…っ、ぼく、ぼく…ぅ、」
「いいの。じょおすけくんがなでてくれたから、もういたくなんてない」
「ごめ、ごめんん…っうぅ、#ひらがな#ちゃん…」
「じょおすけくん、泣かないで。わたしもかなしい、よ…」
「わか、った…ぐす、」

いいこいいこ、と頭を撫でれば小さく笑ってくれた。
こんなに可愛い、天使のような仗助くんもいつかは大人になって私を必要としなくなるんだろう。
…なんだか悲しくなってきた。
未だスンスンと鼻を鳴らして一生懸命に涙を拭う仗助くんの手を取り、優しく握って乱暴に拭いちゃだめだよ、とポケットから片手でハンカチを取り出し、優しく涙を拭えばきゅっと目を瞑りされるがままになっている仗助くんに思わず笑みがこぼれた。
拭き終わった後、もう大丈夫だよと頭を撫でれば嬉しそうに、だけど恥ずかしそうに身を捩らせながら小さく笑って#ひらがな#ちゃん、ありがとうと言い繋いだ手をぎゅう、と握ってきた。
本当、こんなに可愛い子が大きくなったらあんなに素敵な人になるなんて。
世の中って不思議ですね。

その時私は、自分の後ろに立つ影に気付いてはいなかった。

[ 12/14 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -