トリッシュ・ウナ

 目が覚めたらジョジョの世界だった。
な、何を言っているか分からねぇだろうが俺も分からねぇ…トリップだとか夢オチだとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねぇ!
もっと恐ろしいものの片鱗、否、恐ろしいものを今体験している。
長々と語ったが私が今いるのは”ジョジョの奇妙な冒険の世界”であって”ジョジョの奇妙な冒険の世界”でない。
なにを矛盾したことを、戯言を、と思うだろうがしかしそうなのである。
厳密に言えば”ジョジョの奇妙な冒険の混部の世界”にいるのだ。
つまりパロディなのだ。カーズ様じゃあないのだ。

「とどのつまり私は転成したってことなんですよォ」
「全く話が見えないけれど、貴女、頭が可笑しくなっちゃったんじゃない?」

辛辣な言葉を投げかけてくるこの美女はトリッシュ・ウナと言い私の大親友である。幼少期からずっと一緒に居たこともあってか17年経ってやっとこさ自分の生い立ち等々を話したわけであるが、このザマである。ちなみに私と彼女は二歳差で私が年上である。
 しかし美女というものは不思議であっていくら辛辣な言葉を投げつけられようと幸せになるのだ。良かろうなのだ。何度も言うがカーズ様じゃあないのだ。

「ねぇ、やっぱり貴女可笑しいわよ。病院に行った方がいいんじゃない?」
「いや本当なんだって信じてよトリッシュちゃん。」
「なまえの言うことなら信じたいけど、信じがたいんだもの。私が漫画のキャラクターだなんてちゃんちゃらおかしいわ。ブチャラティなら兎も角」
「いやブチャラティもそうなんだけどね?聞いてる?」
「ブチャラティもなの!?素敵…きっと凛々しく描かれているのね」
「いや確かにスティッキィ・フィンガーズなんて美し過ぎて鼻血ものだけどって違うよトリッシュちゃん。ねぇ、トリッシュちゃんだからこそ言ったんだよ?」
「貴女、スティッキィ・フィンガーズが好きだったの?渡さないわよ!」
「聞いて!私が好きなのはあくまでもスティッキィであってブチャラティじゃないから!あと真面目に話を聞いて!」
「聞いてるわよ煩いわね!大声出さないで!」
「ご、ごめんねトリッシュちゃん…ブチャラティはさておき本当に本当なんだ。信じてもらえるなんて思ってなかったけど…これは酷い」
「…もう分かったわよ。どっちにせよ、なまえはなまえでしょ?異世界人でも、転成でも、変わらないならそれでいいのよ。あぁちゃんと信じてるわよ。なまえって私には嘘がつけないんだもの」
「と、トリッシュちゃん…!」
「何よ…言っとくけどブチャラティは渡さないわよ!」
「うん!!早くブチャラティとくっついてね!手伝うからね!トリッシュちゃん大好き!愛してる!」
「言ったわね?なら私も貴女の男嫌いを治すのを手伝うわ。あとウザい」
「酷い!嫌いじゃなくて苦手なんだよ」
「変わらないわよ。恋をしなさい恋を」
「難しい注文ですなぁ」
「打つわよ」
「もう打ってるよ!酷い!」
「もっぺん打つ。」
「ご、ごめんなさい」

今日も愛しのトリッシュちゃんはブチャラティに夢中だそうです。
それにしても打たれた頬がピリピリ痛い。しかしそれも愛!

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