カチカチとシャープペンを鳴らす。
出てきた芯をポキリと折ってはまたシャープペンをカチカチ鳴らして芯を折る。
無駄にシャー芯を消費しながら私が見つめる先には男の子にしては少し小柄で、綺麗で、だけど芯の通った目をした男の子、上木鷹山がいる。
私の知る上木鷹山という男はバスケが好きで背が小さくて、昔はそれを気にしていたけど今はそうでなくて、芯が強くて負けず嫌い。それから”あの”不破豹と仲が良い。
そんな上木鷹山は私の幼馴染で唯一心の許せる相手である。
私は昔から人付き合いが苦手で、初対面の人に対しては尋常じゃないほど人見知りを発揮しては鷹山の後ろに引っ付いて回っていた。
今でこそ腰巾着はしていないが人見知りは抜けない様で交友関係は狭い。しかも狭い交友関係の中で心を許せるのが先程挙げた上木鷹山という男である。
鷹山が行くと言うから私も横浜大栄に来た。
鷹山が、それだけの理由で私はこの高校へ来て彼等バスケ部のサポート、所謂マネージャーをしている。
とはいえ部活中も休み時間も殆どと言っていい程鷹山とは話さない。
それは昔から変わらなかったし、これからも変わることはないのだろう。
確信めいたものを感じながら鷹山を見つめていればふと彼と目が合った。
だからと言って何をするわけでなく、ただ見つめていれば鷹山は小さく、ほんの小さく。私以外の人には分からないであろう程小さく笑みを浮かべた。
その後口パクで”けいたい”と告げられたので見てみると一通だけメールが届いていた。
To.鷹山とある。件名は無題。本文には一言『昼休みに屋上』と書かれていた。
もう一度彼に視線を戻せばまた小さな例の笑みを浮かべた。
時計を見るとお昼休みまであと5分もない。
バクバクと忙しなく動く胸にそっと手を当ててぼうっとする思考のまま来たるお昼休みに想いを馳せた。
お昼休みまで、あと1分を切った。



代わらない星/title それがな弐か?
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