!少し注意



「っ、ひ!あ…っ、ひあ?!」


甲高い声を上げて悶える名前の目元にはキラリと光る涙が浮かんでいて中々扇情的だと思う。
俺の腕から逃れようと身体を捻りもがく様子もまた俺の加虐心を刺激する。ニヤリと笑ってより一層激しくすれば先程より高い嬌声が部屋に響き渡る。良い声だ。


「ひ、ぁあっ…!ん、ふ…っ、プロ、シュートっ…!はな、し、離して!っ、ぁあ!」
「っは、無理な相談だなぁ?」
「あっ…んんっ、ひ、く…!も、おねが…っ、やぁ…!ひゃ、ん…っ」
「お前…今どんな顔してるかわかってるか?」
「わ、かるわけないっ…ひぃっ、あ…ひひっ、あは、あははっ!きゃあ!」


きゃらきゃらと笑って俺の腕…擽りから逃げようともがく名前は本当に加虐心を煽る。
目元に溜まっていた涙がつ、と目尻から零れ落ちた。
ふと擽っていた手を緩めて、目尻から零れ落ちた涙をキスで拭ってやればはぁ、と荒い呼吸をしながらもふんわりと笑った。可愛い、と思う。
ふ、と口許が緩んだ俺の頬に手を当ててやめてって言ったのに、なんて言って呼吸を正す名前を抱きすくめて悪かったな、と謝れば名前はくすくすと笑って今度、覚悟しておいてね。と言った。


首筋にキスを落として名前の足の間に膝を割り込ませればきゅ、っと俺の首に回った腕の力が強くなる。
続きはしない、という意味を込めて触れるだけのキスを唇に送ればニュアンスが伝わったのか、ふにゃりとした気の抜ける様な笑みを浮かべてプロシュート、大好き。なんて言ってまた俺を強く抱きしめた。


コイツは抱き締めたり、抱き締められるのが好きだと言った。
それと、舌を絡ませない触れるだけの優しいキスが好きだと言った。
疚しい意味で好かれてないと思えるから、なんてクマの縫いぐるみを抱きながら話す名前はとても可愛くて今にも手を出したかったが、話が話だっただけに頭を撫でるだけに止めて置いた。
正直、どうしてこの俺がこんなバンビーナと付き合っているのかは分からねぇが、それでもコイツじゃなきゃならない何かがあるのは分かる。それが何かまではこの俺でも理解できない。
つまりそう、「よう分からん」ってやつだ。


「バンビーナ、これに懲りたらもう一人で出掛けるんじゃあねぇぞ」
「何よう…少しくらいいいじゃない」
「危ねぇんだよ。お前は特にな。余所見して転ぶ事なんて日常茶飯事じゃあねぇか」
「…そうだけど、」
「心配してんだよ。俺がお前を見ておきてぇんだ。分かったら今度から電話しろ。すっ飛んで行ってやる」
「でも、プロシュートも仕事してるから、」
「構いやしねぇ。お前からの電話なら喜んで抜けてやるよ、名前?」
「…分かった、ごめんなさいプロシュート」
「いい子だ、名前。」


しゅん、と頭を垂らして謝る名前の頭をぐりぐりと撫でてやれば途端に笑顔になる。
プロシュート、プロシュート。
だらしない笑みを浮かべて何度も何度も俺の名を呼ぶ名前に一々返事をしてやればひひひ、と悪戯っ子の様な笑みを浮かべて俺に抱きついてくる。それから首に腕を回してピッタリと隙間無く身体をくっ付けて俺の首に顔を埋めてまた情けない程ふにゃふにゃの笑顔で俺にこう言うのだ。


「死んでもいいわ。」


大概俺もだらしねぇ顔をしているんだろうな。



死んでもいいわ=愛してる
という意味だった気がします。
130525
 

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