!名前変換無しです

『金ちゃぁん、』
ざぁざぁと雨が降る
久々の雨に、なんだか嬉しくてウキウキする
でも、表情に出したら金ちゃんに、可愛いな、なんて子供扱いをされてしまうから。
私は、決して顔に出さない
ざぁざぁと降る、雨の音が私は好き。
ぱちゃぱちゃと跳ねる水の音が好き。
昔から、お日様がさんさんと輝く晴天より、どんよりとした鈍色の雲が空を覆う、雨空の方が好き。
金ちゃんは、晴天の方が好きらしいけど

『金ちゃぁーん』

もう一度名前を呼ぶ

「なんやぁー」

気だるそうに語尾を伸ばして話す、金ちゃん

『金ちゃん、外で遊ぼう』
「嫌や。」
『なんでぇー』
「濡れるし、面倒臭いやん」
『遊ぼうよ。』
「いま、理由言うたやろ」

依然として引き下がらない私と金ちゃん。
だって、遊びたいんだもん

『金ちゃん、』
「だぁーっ!うっさいわ!」
『じゃあ、遊ぼう!』
「…今日だけ、やぞ」

そう言うと立ち上がり、縁側で雨を眺める私の隣まで来た

「雨、ごっつ…」
『金ちゃん、行こう』

ぐいぐいと強く手を引いて金ちゃんを雨に濡らす
最初こそ嫌そうな顔をしながらも、だんだんと笑顔になっていく

『金ちゃん、べちょべちょ!』
「阿呆、お前もやろ」

なんて言って、ふにゃりと笑った金ちゃん。
雨に濡れて、いつもとなんか違う

『へへ、そうだね』

ありきたりな返事しか出来なかったけれど、金ちゃんは笑顔で私を引き寄せた
後ろから抱き締められて、金ちゃんの心臓の音が聞こえる
どくん、どくんと一定の速さで心音が聞こえる

『金ちゃ、』
「なぁ、」

抱き締めていた腕をはなし、私の肩に手を置いて、目線を合わせるように少し屈む金ちゃん。
いつものことながら、かっこいいな、なんて思っていたらいきなり視界がブラックアウト。
なんだなんだとわたわたしていたら唇に柔らかな感覚
後にちゅ、と軽やかなリップ音
びっくりしていると、視界が開けた。

『なっ、なななな』
「あのな、」
『なんっ、何?どうしたの?』

平常を装うつもりが焦りと動揺でボロボロ。
あぁ、恥ずかしいな。

「このまま、ずぅーっと一緒におってな」

ぎゅうっと抱き締められた嬉しくて、びっくりして。
心臓がどくどくと、物凄いスピードで音を立てる。
恥ずかしい、けど。
嬉しい。

「結婚、してくれませんか」

耳元で囁かれた愛のプロポーズ。
私は返事をする代わりに、ぎゅううと力一杯抱き締めてキスをした


君を抱きしめたい



(金ちゃん、大好きです)
(…俺も、好き)

 

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -