好きです、とありきたりな言葉を伝えれば彼は苦笑いをして「俺、彼女いるんだ。」と言った。知ってる、でも言いたかっただけなんですと言えば今度は儚い笑みを浮かべてそう、ごめんね。と言って彼は帰った。
後から聞こえてきたのはクスクスという笑い声と地味子に告白された、と馬鹿でかい声で騒ぐアイツの声。
ああいう奴だとは、知っていたのだけれどいつのまにか、本当にいつの間にか好きになっていた。
こう騒がれることも断られることも重々承知の上で告白したわけだけども、やっぱり騒ぐのは人間としてどうかと思った。
私が、何も言わないからってさ。
はぁ、とため息をついて壁に凭れ掛かり、そのままずるずると床に座る。
くしゃりと前髪を掴んで今一度ため息をつけば後ろから「フラれたんだ」という幼馴染の声が聞こえた。
そうだよ、と抑揚のない声で言えば彼は何も言わず私の横に腰を下ろした。

「珍しいね、鷹山がサボりなんて」
「うるさい。僕だってサボりくらいする」
「そうなんだ」
「…なんであんな奴好きになったの」
「わかんないよ」
「わかんないって、」
「気付いたら好きになってた。悲しいことにね」
「…本当に、ね」
「考えるのが、面倒になって」
「うん」
「どうせ叶わないし、考えるのも面倒だしもういいかって」
「…ヒョウが心配してたよ。」
「そう…」
「…アイツ、殴った」
「そ…ハァ!?」
「殴ったんだよ、僕が」

唖然とした顔で鷹山を見つめていれば彼はいつもより少しばかり居心地悪そうに顔を顰めて、悪い?とムッツリした顔で聞いてくる。
その姿にそりゃ悪いでしょう、とは言えずにとりあえずため息だけでもと零せば軽くほっぺを抓られた。
いひゃい、と舌足らずな言い方になってしまったけれど伝わったようで、パッと手を離して抓っていたそこを優しい手つきで撫でてくれた。
なんで殴ったんですか、と仰々しく言って見せれば先ほどより、更に顔を顰めて気持ち悪っと呟いた。何、鷹山殴られたいの?

「ね、なんで?」
「なんで、ってそりゃ」
「そりゃ?」
「そうじゃ」
「オーキドェ…」
「ってそうじゃなくてさ。…まぁ、簡単に言えば好きな女の子泣かされたから」
「…は?」
「好きな女の子っていわなくても分かるでしょ」
「……う、自惚れても?」
「全然構わないよ。…むしろ、自惚れれば」
「・・・っ、鷹山!」
「何?」

立ち上がって埃を払い、屋上を出ようとする鷹山を呼び止めて振り返った彼の唇に私のそれを押し当てる。
普通の男の子と比べれば幾分か大きくて綺麗なその目を大きく見開いて固まった鷹山に、大好き!と叫んで屋上から逃げるように走りさった。
途中、後ろから私の名前を呼ぶ声が聞こえたような気がしたがそんなことに構っていられない。
だって、私の顔、今真っ赤だから。

キミトボクパレード

(出演者は君と僕、たった二人で十分なのさ)

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タイトルは自慰様にお借りしました
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