狂愛ディペンデンス | ナノ
今日は朝から災難ばっかじゃった。 なまえからの目覚ましコールはないわ朝飯も時間が無くて食べれんし。 しかも登校中に逆ナンされて学校に遅刻するわ真田に怒られるわなまえは休み。
まぁ一番堪えたんわなまえが休みっちゅーことじゃな。 メールで聞いたら気分じゃないから、らしい。 まぁ年に何回かあることじゃし、しょうがないとおもいつつも眉間に皺を寄せて今日から立海に通うらしい転校生に目を向ける。 たしか…ひめの?じゃったかの。どうでもいいが気持ち悪い。 ピンクの目ってなんじゃ。キチガイどころか異星人じゃなか? しかもわしの隣の席…今日は厄日どころじゃないんじゃないかのう。 やたらと甲高い声でわしに媚を売るコイツを視界に入れたくなくてじーっと前を向いていればアイツからわしの視界に入ってきおった。 わしの視界に入ってええのはなまえだけじゃ。死に晒せメス豚が。
「私ねぇ、姫野彩華って言うんだぁ!お友達になってほしいなぁ、なんて!」 「…」 「あう、聞いてる?…んもぅ!ねぇ、お名前教えて?」 「…仁王」 「下の名前もっ!」 「……雅治」 「んじゃあ雅治くんだねぇ!うふふ、姫ぇ、雅治くんとお友達になれて嬉しいなぁ!」 「気安く名前で呼ぶんじゃなか。それとお前と友達になる気なんかないわ。」 「えっ…?」 「話しかけるんじゃなか。鬱陶しい」 「え、えっとぉ…ごめんねぇ?姫ぇ、ちょっと嬉しくてぇ」 「鬱陶しい言うとるのがわからんのか。」 「あ、う…」 「に、仁王!ソイツ怖がってるって!アイツがいなくて機嫌悪いのは分かるけど…」 「ブンちゃんから話しかけるなっちゅーてくれ。わしの話も聞きやせん」 「…だって、よ」
イライラする。なんでわしがコイツの隣なんじゃ。 わしの隣はなまえだけでよか。なんてことを考えつつガン、と机の脚をひと蹴りして屋上に向かう。 ブンちゃんからのメールには仁王もアイツ嫌いなんだな、という文。 当たり前じゃ、わしが好きなんは…愛しとるんはなまえだけじゃ。 一生涯なまえだけど愛するんじゃ。 屋上について携帯を開く。 着信履歴の一番上にあるなまえに電話をかける。 ワンコールツーコールスリーコール。 ブツ、と言う音のあとに柔らかな愛しのなまえの声。 ああ、ああ、もっと声が聞きたい。もっとなまえを感じたい。なまえ、なまえなまえなまえ。
『―…仁王?』 「ああ、ああああ、なまえ、なまえ、なまえなまえなまえなまえ。」 『どうしたの仁王?落ち着いて仁王、仁王』 「なまえ、なまえ…わし、嫌じゃ、嫌なんじゃ」 『どうしたの?何が嫌なの?』 「今日、転校生が来たんじゃけどな、わしの隣の席で。わしの視界に入ってくるしわしの名前を呼ぶんじゃ。わしは、わしの名前を呼んでいいのはなまえだけなのに。わしの視界にはいっていいのはなまえだけって決まっとるのに。なぁ、なぁ。どうすればええんじゃなまえ、なまえ。わしは、もうアイツを殺してしまいたんじゃ。鬱陶しいし、気持ち悪いんじゃ。気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い」 『落ち着いて仁王、仁王?私がいるわ。仁王、仁王落ち着いて』 「なまえ、わしの名前を呼んでくれ、」 『雅治、雅治大好きよ。愛してるわ。雅治。だから落ち着いて雅治、私も不安になっちゃう。雅治、雅治。』 「ああああ、不安にならんでも大丈夫じゃ。わしが好いとうのはなまえだけじゃけ。なまえだけを愛しとうとよ。なまえ、なまえ」 『雅治、私嬉しいわ。凄く嬉しい。ねえ雅治。今日は授業をサボってなさい。私雅治が心配なの。その女が雅治になにかをするんじゃないかと心配なの。お願い。部活が終わったら私の家に来てもいいから。お願い雅治』 「なまえに言われんでもわしは今日サボる。だから安心して?大丈夫じゃけ、安心して?な?わしは大丈夫じゃ。それに放課後なまえの家にいけるならなんだって耐えられるからの。じゃから不安にならんで、わしのことだけ考えて。わしを愛してくれんか?わしを、わしだけを愛してくれ」 『それなら大丈夫だから。私は雅治以外愛せないし雅治以外愛したくないのだから。雅治、気をつけてね。明日からは私もいるから安心して。私も雅治が不安なのは嬉しくないの。悲しいの。雅治、雅治雅治雅治』 「ああなまえ、大丈夫じゃけん落ち着いて…?な?」 『あぁ、ごめんね雅治。じゃあまた放課後ね』 「…なまえっ、」 『なぁに雅治?どうしたの?』 「…好いとうよ、」 『えぇ雅治。私も好きよ。愛してるわ』 「…ん、切るで」 『えぇ、じゃあね』
ブチリと電話を切ればツーツーと無機質な音が聞こえる。 なまえの声が聞こえなくなった。それだけで体が強張り不安が迫ってくる。 なまえ、なまえなまえなまえ。 ああでも大丈夫。放課後なまえの家にいけるからのう。 めいいっぱい甘えて甘えて、名前を呼んでもらうんじゃ。 わしも名前を呼ぶがの。
ああああなまえ、なまえなまえなまえなまえなまえ。 好いとうよ、愛しとうよなまえ。
彼女を愛しすぎた (好きじゃ、好きなんじゃ。大好きなんじゃ。愛してるなんて足りん、もっともっともっと上の言葉を誰かわしに教えてくれんか。)
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