狂愛ディペンデンス | ナノ
「ごめんなさい、私彼以外愛せないし彼以外愛したくないの」


そう言って屋上から階段に繋がる扉を開き階段を降りてゆく。
下まで降りて顔を上げれば今にも食らいつきそうな視線を私に向けるコート上の詐欺師こと仁王雅治。
彼は私の唯一無二の宝物であり同時に彼氏という立ち位置にいる。
あぁ私に告白した彼に嫉妬しているのね。
私は自分の物だと主張したいのね
男のあとに着いていった私が許せないのね、ごめんなさい


「仁王、」
「なんじゃ」
「私が好きなのは貴方だけよ。私が愛されたくて愛したいのは世界でたった一人、貴方しかいないわ仁王。」
「なんで行ったんじゃ」

ぶすくれながらも私に駆け寄って抱き着いてくる仁王に私の口角は見る見るうちにつり上がる。
ニヤニヤと下卑た笑いを浮かべて仁王を抱き締めくすりと笑えば仁王は不快そうに身を捩る
その姿さえも愛しくて顔の近くにある首筋にかぶり付けば痛そうな声をあげた。

あぁ可愛い。可愛いわ仁王。私の仁王。大切な宝物、愛してるわ仁王。

「…愛してるわ、仁王」
「誤魔化すんじゃ、なか」
「…そうね、強いて言えば宣言のためかしら」
「宣言のため?」
「私に告白したって私は仁王以外愛せないし愛したくないと宣言したいから。」
「なるほどのう」
「妬いた?」
「あの男殺したらいかんのか?」
「ダメ。やるなら私もやるわよ?」
「誰を」
「貴方のファン」
「勝手にせい。わしゃ構わん」
「あら残念。でも当たり前よね」
「そうじゃな」
「愛してるわ、仁王」
「名前を呼んでくれんか」
「…愛してるわ、雅治」
「わしもじゃなまえ」

狂気に満ちた僕らの日常
(狂ってる?いいや至って正常さ)

12.03.29



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