君と出逢った一週間 | ナノ
ふんふんと鼻歌を歌いながらくるり、と傘を回す。
今度は傘を持った私ごとくるりと回ってたんっ、と地面を蹴り上げればほんの少しだけ飛んで、着地。
ふふっ、と笑って校舎を見上げれば、教室の窓からケンくんが手を振ってくれていた。
手を振り返せば笑って、後ろ、と言った。
首を傾げて振り返れば、そこには私の大好きなヤスくんの姿。
吃驚してわぁっと声を上げれば朝から元気だな、と言って頭をくしゃりと撫でられた。
最近、よく頭を撫でられている気がする。
だけどそれは苦じゃなくて、むしろ嬉しくてふふっと笑えば今日はやけに機嫌いいなーなんて言って欠伸をしているヤスくんに、今日は雨だから、と言えば雨好きなのか、と言われた。
大好き!と言えばそりゃよかったな、と言ってまた撫でられた。
その手を掴んで、引っ張って校舎に連れて行けばどうした、と聞かれた。

「なんとなぁーく、です!」
「そっか。…なぁ、」
「あ、おはようゴザイマス!です!」
「あぁ、はよ。でよ、今日一緒に昼飯食わねぇ?」


いきなりのお誘いに、私は吃驚して。
ぽかんと口を開けていればぶは、とヤスくんが噴出した。
そのおかげで、ハッとして意識を取り戻した。
けど、未だに笑っているヤスくんに笑わないで、と言えば悪い悪い、と言って頭に手を置かれた。

「で、どうする?」
「食べた、い」
「分かった。じゃあ昼休み迎えに行くな」
「はい!・・・あの、ヤスくん」
「あ?どうした?」
「えっと、ヤスくんのお友達は来るのですか?」
「俺のダチ?…そう、だな…いや、来ねぇよ」
「そうですか?…よかった、」
「なんだ、怖いか?」

怖いか、と言ってヤスくんは私の顔を覗き込んできた。
う、と返事に困って俯けば頭をポンポン、と優しく叩かれた。
おずおずと顔を上げてヤスくんを見れば、いつも通りに優しく微笑んでいた。
まぁ、喋ったこともねぇ奴と飯食うのは怖ェーよな。と言って頭を撫でてくれた。
また今度、お話してみたいと言えば、じゃあ明日、バスケ部でも見に来い、と笑って誘ってくれた。
バスケ部にはヤスくんは勿論、ケンくんや車谷くんもいるから、うん!と返事を返せばじゃ、また昼休みな。と言って髪の毛をくしゃくしゃにして去っていった。
教室に行きながら髪の毛を直して、廊下で会った車谷くんにおはよ!と挨拶すれば車谷くんもおはよ!と挨拶を返してくれた。

今日はいい日だな、なんて呟けばふわりと心が温かくなった。


木曜日

(この気持ちの名前を、私はまだ知らない。)

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何かとトビくんが出てくる・・・


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