君と出逢った一週間 | ナノ

「あっ!」

前方からくる人影に、なんだか嬉しくなって声をあげた。
すると、私の目当ての彼は私を視界に入れたのか優しく笑ってはよ、と言った。
おはよーゴザイマス、と元気よく返せば頭をくしゃりと撫でられた。
嬉しくて、えへへと笑えばお前、可愛い奴だなといってもっとわしゃわしゃと頭を撫で回された。

「カワイイ?」
「オウ。なんか、妹みてー」
「妹…」
「あ、元気なくなった」

妹、と再度呟けば心臓がズキリとした。
なんだろう、と思って首を傾げて胸あたりを掴めばまたズキリとした。
痛い、と呟けばヤスくんは私の顔を覗き込んで大丈夫か?と聞いてきた。
お顔が近くて、吃驚した。
ヤスくんの顔が近くて、あぁかっこいいなって思った。
と、同時に顔が真っ赤になったのが分かった。
熱でもあるんじゃねぇか、そう言ってヤスくんがおでこをくっつけてきた。
コツンとおでこが合わさって、さっき以上に顔が近くてなんだか頭がクラクラした。
あ、う、と声にならない声を出せば保健室行くか、と呟いてヤスくんは私を抱き抱えた。

「やっ、ヤスくん何するの!」
「何って、熱あんだから保健室いったほうがいいだろ?」
「熱…?」
「顔真っ赤じゃねぇか。しんどいなら、無理すんな。」
「しんどい…えと、ありがとうゴザイマス。」
「おう。分かったから寝てろ」

ヤスくんが一歩踏み出す度に小さな揺れが私にも伝わる。
ヤスくんの心臓のが、トクントクン、って音を立てる。
それが心地よくて、抱き抱えられたまま目を瞑ればゆっくりと睡魔に飲まれていった。
意識が落ちていく中、最後にヤスくんの声が聞こえた。

「…―んとに、可愛い奴」


水曜日

(意識が浮上するに連れて、貴方を求めた。)


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もう何も言うまい。


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