君と出逢った一週間 | ナノ
「おっはよーうございますんっ!」

元気よく朝の挨拶をすれば、秋穂ちゃんとケンくんがおはようと返事を返してくれた。
他の皆は、不思議ちゃんでたーとか言ってクスクス笑うけど、まぁどうでもいいのですよ。
今日もいい天気だな、と空を見上げていればカタン、と音がした。
隣を見れば私より背のちっちゃな男の子がえへへと笑って私を見ていた。
なんだろう、と首を傾げればおはよう、みょうじさんと言ってきたから私もおはよう!と言えばまたへへへと笑った。

「ねぇ、なんで私に話かけてくれたんです?えっと…背のちっちゃい僕!」
「あ、空だよ。車谷空。えっとねー、みょうじさんが元気よく挨拶してたから、僕も返事返そうって思って。」
「空くん!いい名前ですよ!私ね、お空大好きなんだー!」
「えええっ!?あ…上の!うん…確かにいいよね!」
「でしょ!?今日なんてさ、滅多にない快晴で雲ひとつないからね!」
「わっ、ホントだねー…綺麗、」

HRがもうすぐ始まるにも関わらず、私たちは窓際で雲ひとつない空を見上げていた。
途中から秋穂ちゃんとケンくんもやって来て、ほんまじゃのーなんて言って笑ってたら、九頭高の校門に見知った人影を発見した。

「「あっ、ヤスくん/さん!」」

大きい声で彼の名前を呼べば車谷くんと声が被った。
え、と言って顔を見合わせていれば下からおー、という声が聞こえた。
その声につられて下を向けば昨日出逢ったばかりのヤスくんの姿。
今日もかっこいいな、と思いながらヤスくん、おはよー!と手を振ればヤスくんも笑って手を振り返してくれた。

「なんじゃ、なまえ。昨日言ってた"ヤスくん"っちゅーんは先輩やったんか」
「うん!あのね、ケンくんのボール落っことしちゃって。コロコローってなって、ガシって捕まえてくれたんだ!」
「わけわからん。」
「なるほど!空を見てたらついボールを手放しちゃったんですか!そこが坂だったからボールが転がっていったんですね。で、転びそうになったみょうじさん諸共ヤスさんが受け止めてくれたんですか!」
「なんでわかるんじゃ、コイツ…」
「夏目くん、多分車谷くんもなまえと一緒なのよ」
「なるほどの…」

私の説明が擬音語ばかりでアバウトなのにも関わらず、車谷くんが分かってくれたことが嬉しくて車谷くん、仲間だよ!と言って抱きつけば車谷くんもわーい!と言って抱きしめ返してくれた。
ふふふ、と笑えばえへへと笑い返してくれて。
ケンくんと秋穂ちゃんに、車谷くんは仲間なんだ!と伝えれば声を揃えてよかったね、と言ってくれた。
それがまた嬉しくて二人に抱きつけばしっかりと支えてくれた。

「…そういや、なまえ」
「ん、なにケンくん!」
「先輩のこと、かっこいいとか言うとったのぉ」
「え、うん。かっこいいよー!」
「…複雑じゃ…っ!」

親の心子知らずとはまさにこの事か、なんて言いながら涙を流すケンくんを、秋穂ちゃんがまぁ、可愛い子には旅をさせろと言うじゃないとフォローになってないようなフォローをしていた。
それを聞いてケンくんは、なまえはワシの妹じゃ!誰にもやらんワ!と言って走ってどこかに行ってしまった。
車谷くんは、そんなケンくんを追いかけて一緒にどこかに行ってしまった。
行っちゃったね、と言えば秋穂ちゃんはそうね、とだけ言って私の頭を撫でてくれた。
ふふふーと言って擦り寄れば頑張りなさいよ?と言いながらほっぺをつまんだ。

「あきふぉひゃん、わひゃひぎゃんばりゅにぇ!」
「なんて言ったのかしら」
「ぶ、秋穂ちゃん、私、頑張るね!」
「えぇ、頑張りなさい!」

あの後、ヤスくんが一人、微笑んでいたのを私は知らない。


火曜日

(目が合って、瞬時に顔が熱くなる。)

---------------------------
トビくんがお兄さんになってしまった…!
空くんに到っては近所の仲いいお友達みたいな…!
そしてヤスさん空気!


prev next