短編 | ナノ
途切れた言葉


「じゅーんいっ聞いたぜぇ結婚云々の話!」

「はい?」
「噂が流れてますよ、グラニス公爵が結婚相手を探しているっていう」

「ただの戯言です」

「ほー戯言ねぇ」

「ザレゴトォ」

「隊長、中尉、その含みのある言い方は謹んでいただけませんか」

「とは言っても、准尉確か19だろ、普通の貴族の令嬢ならもう結婚していてもおかしくないと思うけど」

「私は・・・跡継ぎとして育てられたので、結婚については当主となるべく学問を学び終わってからと言われていたので」

「婚約者もなしに?」

「はい」

「ふーん、あの公爵にしては型破りな」

「何々?隊長、准尉の父さん知ってんの?」

「ま、貴族的な付き合いで」

「ていうか学び終えたらって、もう学び終えてんじゃないの?」

「はい、2年前に弟が産まれましたのでその関係で私は跡継ぎではなくなりました」

「・・・おもーい、ごめん」

「お気になさらず」

「婚約者がいなかったから公爵は焦ってる、か」

「姉のほうを焦ったほうが良いようにも思っているんですけどね」

「ああ、そういや身体の弱い姉がいるんだったな」

「こちらも諸々で結婚をしておりませんので」

「しっかし、公爵も今更焦ってどうなるって問題でもないだろうに・・・」

「まったくもって同感」

「誰が選ばれるんだろなぁ、准尉の結婚相手」

「公爵家だから、やっぱ利益がある家柄が選ばれるだろうさ」

「ならベネットもありじゃないか」

「あ、そっか、隊長の家は侯爵家か」

「そうで・・・」

「・・・リズよ、何でそこで黙る」

「いえ、別に」

「じゃあ何でそんな微妙そうな顔をしてるんだよ」

「・・・」

「何でまた黙る!?」

「・・・副隊長、准尉の顔見えた?」

「・・・心の目というか、何かが繋がってるといか・・・その類じゃない?」


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