短編 | ナノ
束の間の休息
「副隊長は貴族の出ではないのですか?」
「家は農家、このちゃらんぽらんとは違うってことです」
「誰がちゃんぽらんだ、誰が」
「立ち振る舞いがしっかりしておられたので貴族なのかと思っていました」
「母と一緒にこのちゃらんぽらんの家で使用人として働いていたんですよ、今じゃお目付け役」
「それはお辛いですね」
「嫌味か?」
「いいえ、正直な思いを言っているまでです」
「じゃあこっちも正直な考え聞こう、何で名前も家名も変えて軍属になっている?」
「隊長には関係ないと思いますが」
「じゃあ俺は?」
「副隊長にはもっと関係ないです」
「フられたな」
「言えない事情ってやつですね」
「いえ、ただの反発ですが」
「・・・」
「さらりと言うな、さらりと」
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