観察、する | ナノ


 この学校は絶対に変だ。
 べつに授業のカリキュラムがおかしいとか、そういう話じゃない。

「くっそぉー…」

「また負けたのかぁ切原ぁ」

「幸村部長にはかないっこないのに」

「うるせぇ!いいか俺は立海のナンバー1に…っ」

「はいはいがんばれ」

 例えば同じクラスの切原赤也。
 ワカメみたいなくせ毛をのぞけばその辺にいる男子だけどテニスの試合をしたら豹変、目が充血してそりゃ化け物のようになるのだ、見た目も中身も。
 偶然見ただけの試合だったけど、はっきり言ってそら恐ろしいものを感じた、背筋を変なものをぞぞーと伝った感じ。
 ていうかあれが火事場の馬鹿力にしても目が充血する意味がわからない。
 見ているかぎりでは普通の男子なのに。
 じーっと切原を見ているとばっちりと本人と目が合った。
 気まずさから目をそらして手元のノートに視線を移す、忘れてたけど英語の宿題をしていたところだったんだ。
 シャーペンで机の上をトントンと叩く。さっきまで見ていた場所からは「あいつさ〜」という話題になっている。
 それが私のことではありませんようにと願いながら机に突っ伏した。



観察、する

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -