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空飛ぶ退治屋

 リーラの朝は早い。
 日が昇る前に起きて簡単な身支度をしたら、乗り慣れたガンシップの調整をする。
 前後にある搭乗席を掃除したらエンジンや備えつけの小型ライフルを整備し、最後にオイルを注す。
 こんなものかと汗を拭って窓を見れば、日の光りが汚れた窓ガラスを通って室内を照らしていた。多分七時前くらいだろう。
 オイルと煤で汚れた手袋を外し、手を洗うと台所に立つ。

「レタスレータースー…あった」

 保存庫から取り出して痛みが進んでないか確認する。
 そうやって材料を出して台所で調理をしていると、ガタガタキイという音と共に間の抜けた欠伸をした声が聞こえた。

「おはようリーラ」

「おはようアオ。起きるの遅いよ」

「起きる遅い違う、リーラ早いだけだ」

 振り向いて見れば、背の高い男がよたよたと洗面所に入って行くのが見えた。
 やれやれとため息を吐いてリーラは出来上がった朝食を机に並べていく。
 ベーコンとレタスとトマトと気まぐれにスクランブルエッグを挟んだだけのサンドイッチと、ミルクも砂糖も入っていないコーヒー。
 簡素すぎる朝食を前にリーラは満足げに頷くと席に着き、コーヒーを飲む。

「リーラ待つ。まだ俺座るしてない」

「じゃあ早く座って」

 寝癖だらけの髪をそのままに、おそらく顔だけ洗ったアオは「もちろん」と言ってリーラの前の椅子に座る。

「今日珍しい、サンドイッチ、卵…す、ス…」

「スクランブルエッグ」

「スクランブルエッグある」

「たまにはね。いいでしょ?」

 首を傾げて聞いてみれば「うん」と素直な返事して大きく口を開けてサンドイッチを頬張った。そのままかぶりつくように食べる姿は、まさしく図体のデカイ子供だ。
 それを見ながらリーラもサンドイッチにかぶりつく。
 シンプルだからこそ味が引き立つそれに内心自画自賛しながら無言で食べる。

「今日仕事、どこまで飛ぶする」

「ん?」

 意味がわからなくてリーラの動きが止まる。けれどすぐに「ああ」と言って横の台に置いていた地図を手に取る。

「ルシュカまで行くよ。あのへんで空賊紛いのゴロツキがうるさいって依頼があった」

「時間どれくらい」

「山を二つくらい越えるけど…昼前に着くでしょ。相手の情報集めるのは一日あれば足りるし、二日くらいじゃない?」

「わかった、がんばる飛ぶ」

 嬉しそうに笑うアオはわくわくと両手の拳をぶつけあう。退治屋のサインで空賊との勝負を意味するものだ。
 生粋の飛び屋のアオは空を長く飛べれば飛べるほど喜ぶのだ。

「頼むよ相棒、私が撃ちまくれるよう安全な飛行をちょうだいね」

「もちろん相棒、安全飛行、約束する」

 リーラが茶化すように言えば、アオは嬉しそうに返事をする。
 このやり取りをすればもう何の心配もない。


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続かない。
なんとなくこんなのもいいかもしれんと思った。

リーラ
17歳。空賊退治を本職にガンシップの整備の副職もする働き者の少女。姉御肌で面倒見のいいお人好しで、アオの面倒もその性格のため見続けてる。重火器の取り扱いに関してはお手の物。

アオ
20歳くらい。異国からガンシップに乗ってやってきた青年。リーラに助けられて以来お礼に空賊退治を手伝っている。操縦技術がとってもすごい。めちゃマイペース。

元々リーラは一人で空賊退治してたんだけどアオを助けてから後部座席で狙撃手として頑張ってる。
アオは生まれた国で最新のガンシップを買ってそのまま旅に。ガンシップでどこまで飛べるか試すため旅を始めとか、んで帰ることは考えていなくってそのまま乗ってたガンシップが壊れたとか。祖国に帰るつもりは多分これっぽちもない。
アオの言葉が変なのは住んでた国の言語がまったく違うから。
日本語とフランス語並に違う。
↑のアオの言語レベルは「どこ行く」→「Where go」くらいのレベル。
それを見事に理解できるリーラは多分賢い。


2011/11/13 sss
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