memo | ナノ
不機嫌な考古学2
グレアは悪魔だ。
それなりに高位といえる黄の悪魔である自覚がある。
三十年ほど前に大怪我を負い、ある夫婦に助けてもらった。それから数年、彼らの息子が生まれて、彼らが病で死んでしまった。
私は彼らの息子を育てる決意をした。
でも私は悪魔だから、普通の人間の世界では彼らを蝕んでしまう。そんな時彼らの息子が、ジェットが契約すると言ってきた。対価を払って私と一緒にいると。
親を亡くしたばかりの五歳にも満たない子供は、独りになりたくない一心だったのだろう。
そしてそのひたむきとも言える無謀さに、私は付け込んだ。
グレアはため息を吐いて不機嫌なジェットを見た。そしてさっきまでいたアガサを思い出す。
いつも通りジェットに噛み付いたアガサに、彼は「品性のカケラもない犬」と言い捨てた。
『とっととくたばれクソ学者!!』
そう言って真っ赤な顔でジェットの顔面に固いクッションを投げ付け、颯爽と家を出て行った。
「ねえ、どうしてアガサさんにあんなに冷たくするの?」
尋ねるとジェットは鼻を鳴らして当たり前のように「くだらん」と言った。
「あんな小娘に対する態度としては十分だ」
「でもアガサさんはジェットの不精なところを指摘しているだけなのに」
「余計なお世話だ」
そう言うとカップの取っ手を持ってコーヒーを飲む。
それに驚く。彼は取っ手に指を通すことすら煩う面倒くさがりなのに。
そしてそれはさっきアガサに忠告されたことだった。
「ふふっ」
漏れてしまった笑い声にジェットが睨んでくる。
幼い頃、対価に「他人への好意」という感情を差し出してきたジェットが、他人からの関与を許している。
それがどんなに素晴らしいことか。
気持ちは母親。かわいい「息子」が、異性をわずかながらでも受け入れている。
そしてアガサはきっとジェットに好意を持っている。
絶対に二人を上手くいかせてみせる!!
生まれて早数百年。
グレアは今までにないくらいに強く決意した。
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何かっていうと前に書いた話の続きのグレア視点。
悪魔の種類を赤、青、黄の三色があって、グレアは黄の悪魔。髪の色紫だか関係ない!
これ適当に話書いて日記で更新しようかな…なんて。
この話の時点で限りなくアガサ→→→(←)ジェット。
最後のほうは限りなくアガサ→←←←ジェット。
なんだこいつら(´∀`)=3
2011/05/02 sss