▼ 10.駭然
「俺たちが目を覚ましたのは2階だった。確か3年1組だな。烏野と違って俺たちは全員揃ってた。で、研磨曰くこういう時は体育館が安全だっつーことで体育館を探してたら烏野と会った訳だ」
寝癖さんが一息で言った。
肺活量が凄いですね。
「烏野と俺たちで体育館を探してたら…」
「俺らに会った訳ね」
「ああ」
要するに、寝癖さん一行さんが進むと烏野さんと会って、そしたら及川さん一行と会ったという事だろう。
「…終わったけど、どうするの?」
研磨さんが言うと皆さんは黙ってしまった。
思わず隣の山口くんと苦笑する。
…一体これからどうするのだろう。
ドンッ!!
沈黙を破るようにドアの方から何かを叩きつけるような音がした。
見ると_。
「ひっ」
さっき追いかけられた化物が窓に張り付いていた。
「ギ、イ、イ、イ」
金属で何を擦るような音が聞こえた。これが“あれ”の声だと分かるまで時間はいらなかった。
ドンッ、ドンッ、ドンッ。
規則正しいリズムで“それ”はドアを叩き始めた。
心臓の鼓動よりも遅いテンポ。それはわたしに不快感を与えて_。
するとわたしは突然目眩に襲われた。
ぐわんぐわんと目の前が歪んでいく。
床も、窓も、みんなの顔も。
意識が遠のいていく。
閉じる瞼に焼き付いていたのは、あの化物の真っ赤な目だった。
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