「まーた来てんの?」 「あ、どうも」 「はいはい」 リンちゃんのお墓に花を供えていた私に声がかかった。 声の主ははたけさん。あいかわらず気だるげな雰囲気と右目ライフ。この人、ほんとブレないな。 「ちょっと、何その花」 「リンちゃんの好きな花です」 「あっそう」 リンちゃんは素朴ないい娘だった。 だったというのも、なんだか失礼な気がするぐらい心配性な女の子。私と同い年だったはずのその子は、もう私と同じ高さから世界を見渡すことはない。人間のシエラとして目覚めてから、まだ少ししか経ってない。 でも、どうせ、これをいったら紅やアスマは言うのだ。私の時間概念はあいかわらずおかしいって。知ってるよ。でも、子猫としての生涯を終えたら、そうなるって。え?元からだろ?黙らっしゃい。 「キミもさ、良く来るよね」 「そういうはたけさんは、木の葉一の寝技師になったそうだ、とリンちゃんに報告しました」 「ちょっと、辞めてくれる?」 「嫌です」 私とはたけさんの関係は今や犬猿の仲と呼ばれている。 一時期は恋人だという(間違った)噂が流れたせいで、この事実にしばらくは質問の嵐だった。曰く、なんであんなイイ男を………、だそうな。いや、女の人を取っかえ引っ変えしてる時点でイイ男じゃない。ゲスだゲス。うんうん。 だが、悲しいかなこの主張は誰も理解してくれない。何故か紅やアスマ、ガイにまで、なんて勿体無い事をと言われる始末。天然夫婦はともかく、ガイにだけは言われたくない。お前、私と同じで独身だろ! 30/30 |