.VIVID WORLD
ー体育・実技
「うおォおおおおお」
「ぬウぐおおおお!!」
競技室内に男の子2人の声が響く。なんだ彼ら、仲いいじゃないか。似たもの同士だから反発してただけで気は合うと思うんだけどなぁ。てか、これ蝦蟇(リーパー)の動きになれる授業なんだけど………。
「おせーおせー!キヒヒ!!アタマばっか良くても実戦じゃ役に立たねーんだよ!!」
「………くッ」
もうただの徒競走じゃん。ねむくんと一緒にいると忘れがちだけど、同年代の男の子は以外と子供っぽい人が多いんだった。それにしても、2人とも速いなぁ。
「ねむくんも走ったら速いの?」
『………』
「………ねむくん?」
『………』
ねむくんに無視された………話しかけるなってことですね、はい。ねむくんてば高校の体育の授業でもいつも見学決め込んでるからなぁ。ジャージ姿はよく見るけど、運動する姿とか想像出来ない。
「実戦やったら勝ったもん勝ちやあああ!!」
「でぇー!」
ほんと、彼ら何してんだろ。ほら、リーパーがこれ幸いとばかりに襲いかかってるじゃないか。先生がレバー引いて止められたけどさ。あぁ、リーパーの悲痛な叫びが聞こえる………。
「この訓練は徒競走じゃない。悪魔の動きに体を慣らす訓練だと言ったでショウ!」
先生の言葉を聞かずに喧嘩を始める2人。餓鬼かよ、君達………。先生と金メッシュなトサカの勝呂くんがお供の2人に止められてる。ほら、山田くんなんかゲームしてるし。今度、ゲームを話題に話しかけてみよう。なんだか気が合いそうだ。
「何かネ?ハニー………なんだって?今からかい?仕方がない子猫ちゃんダ!」
子猫ちゃん………だ……と?
(何故か)勝呂くんだけのお説教を終らせて戻ってきた先生が電話の相手に向かって放った言葉。相手はもしかして奥さんかな………?そう、だよね?そうだと信じたい。
「いいかネ!基本的に蝦蟇リーバーは大人しい悪魔だが人の心を読んで襲いかかる面倒な悪魔ナノダ!私が戻るまで競技場には降りず蝦蟇リーバーの鎖の届く範囲には決して入らないこと!いいネ!わかったら以上!今行くヨ!子猫ちゃ〜〜ん!!」
なんか、私情挟んでそのまま走っていってしまった。生徒だけ残して大丈夫!?