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ー悪魔薬学の授業

「それではこの間の小テストを返します。志摩くん」
「ほぉい」

奥村先生の言葉と共に小テストが返される。悪魔薬学ではおもに医工騎士(ドクター)の知識に繋がる部分がある。だから使用する植物とかの名前を覚えたりなど、まぁ基礎だが既に資格の勉強は始まってるのだ。

「ねむくん、ねむくん」
『………』
「私、満点の自信あるよ!」
『この程度で満点取れなかったら、てめぇなんか連れてこねぇよ』
「えへへ、ありがとうね、ねむくん!」

ねむくんが珍しくデレた。相変わらず口が悪いけど、ねむくんらしい優しさが心にしみるぜ!なんて言ってたら冷やかな言葉が隣から降ってきた。ねむくんは何時も目を閉じてるんじゃないかってくらい目が細いから、視線とかはあんまり感じないのだ。その代わり言葉が凄いけどね。

「杜山さん」
「は、はいっ」
「植物にオリジナルの名前をつけるのはいいですが、テストでは正確な名前を覚えて書いてくださいね。それがなければ多分満点だったかも」
「!!!!」

植物にオリジナルの名前つけるとか個性的な子だなー。でも、正式名称覚えてたら満点だったってことは植物好きなんだろうか。へぇー!着物が良く似合う和風系ゆるふわ女子でなおかつ植物を育てるのが好きとか、どこの完璧美少女よ。可愛いから是非お近付きになりたい。

「奥村くん」

奥村先生の静かな声が教室に響いた。これはもしや怒ってらっしゃるんじゃないのかな。 ほら、心なしか教室の温度も下がったみたいだし。とりあえず奥村先生は怒らしちゃいけない人ランク2位に認定。え、1位はって?察しくれ。

「胃が痛いよ………どうする気なのそれ………」
「………スンマセン」

ピロリと奥村先生が奥村くんに見せてたけどここからは遠くてよく見えない。とりあえず杜山さんの反応から相当酷いことを推定。いったいどんな点数とったんだろう。

「2点とか狙ってもようとれんわ。女とチャラチャラしとるからや。ムナクソ悪い………!」
「は!?」

勝呂くんが返事の後に取りに行く。そして、衝撃的事実。奥村くん………2点って………それはさすがにないだろ。勉強しなよ、勉強。でも、勝呂くんの言い方悪いよなぁ。別に女の子と一緒にいても関係ないじゃないか。現にほら私と常に一緒のねむくんだって満点だ。

「上下さん」
「………」
「上下さん!」
『呼ばれてるぞ、若桜』
「はっ!?すいません!!」

まただ、このやりとり何度目。ミス・アベレージの私はここに来てからちょっと上の空………というか、考えることが多すぎて収集が付かない。絶対ねむくんと同じ不思議系だと思われてる。そうはいくか!私がねむくんとみんなの窓口になるんだから!

「上下さんはもう少し授業に集中しましょう。せっかく満点取ったのにもったいないですよ」
「ま、満点やと………」
「ま、マジかよ………」
「………はい」

奥村先生のスマイルにやられて反応が遅れた私に私の点数に不満げな2人。なんだよ、文句あるのかよ。オカルトマニア舐めんな!
とりあえず勝呂くんだけ睨みつけて席に戻る。な………なんやあいつ………、なんて勝呂くんのつぶやきなんか聞こえない。

「見て見て、ねむくん!満点だよ」
『………』
「私、今まで平均しかとったことないから物凄く嬉しい!」
『………うるせぇ』

少し間をおいて罵るねむくん。相変わらず素直じゃないなぁ。