面倒事が、5つ

「イリーナ・イェラビッチと申します。皆さんよろしく!!」

外人の先生がやって来た。
イリーナ、イリーナ、はて、何処で聞いた名だったろうか。
まあ、どうせ裏社会の関係者だろう。
何せ、あの夢以来ウチは片足を裏社会に突っ込んで居るのだから。
殺せんせーがイリーナ サンにデレデレになっている。
この人、巨乳好きか。
ウチの隣りの赤羽サンはクスクスと笑っていた。
お願いだから、面倒事に巻き込まないで欲しい。





電話でイリーナサンの事をリボーンサンに聞いたところ、ハニートラップ専門の暗殺者で、割と優秀らしい。
ハニートラップ専門なだけあって、確かに美人だ。
まぁ、性格は言うまでもないだろう。
裏社会に生きる者がボスのように綺麗な心を持っているとは限らない。

「あのタコの前以外では、先生を演じるつもりもないし」

なるほど。
仕事とプライベートは分けるタイプらしい。
だが、あの殺せんせーを暗殺したいなら、ここもまた仕事場であることに変わりはない。
このクラスで上手くやっていけない人に暗殺なんて出来ないだろう。

「『イェラビッチお姉様』とお呼びなさい」
「ウチが、そう呼ぶ必要を感じないす」
「何勘違いしてるか知らないけど、私は一応この時間を支配してるのよ?だから、」
「だから、何すか。ウチには関係ないす」
「何よあんた」
「ウチは………………………タダのメカニックすよ」

ウチの言葉にイリーナサンが何か考え込んだ。
何すか。
今の文、何の問題も無いはずすけど。

「で、どうすんのビッチねえさん」
「略すな!!」
「あんた、殺し屋なんでしょ?クラス総がかりでやれないモンスター、ビッチ姉さん1人でやれんの?」

挑発的に言う赤羽サン。
ほんと、この人、人を挑発するの好きだな。
歳上は全員敵、なんて言う隼人サンみたいだ。

「…………ガキが、大人にはね大人の殺り方があるのよ」

愉快そうに笑って赤羽サンが黙る。
また、リボーンサン顔負けのあくどい笑み。
うわぁ、また面倒事に巻き込まれるな。


あ。
イリーナサンが潮田サンにキスを仕掛けた。
…………ドンマイす、潮田サン。
ファーストがハニートラップ専門の暗殺者だなんて。
同情する。



放課後

ピロリン、と携帯がなった。
この前、リボーンサンから頂いたGPS付きの携帯電話。
なんでも、ウチは有名人になってしまったらしい。
リボーンサンいはく、

「入江正一、スパナ、そして、メカニカルメカニック。お前らは、裏社会で優秀なメカニックとして名が通っているんだ。弱小ファミリーなんか特にお前達のことを喉から手が出るほど欲しがってるんだぞ」

まぁ、要約すると
・正一、スパナ、ウチは優秀なメカニックとして有名。
・全員、未成年だから狙われやすい

ということ、らしい。
なんとはた迷惑な。

「もしもし、メカ?」
「もしもし、お久しぶりす、ボス」

電話の相手はボンゴレ10代目候補の綱吉サン。
ヘタレで、優しくて、人一倍、仲間思いの人。
そんな彼だから、彼のファミリーにならなってもいいと思うのだ。

【ハニートラップ専門の暗殺者】

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