面倒事が、2つ
「帰ってきたんだ、カルマくん」
烏間サンの体育の授業終了後、潮田サンが声をあげた。
あそこに居るのは、確か赤羽サン。
成績が良く、頭のキレる人。
そんな彼が何故、エンドのE組に居るのかというと、暴力沙汰らしい。
成績優秀、素行不良。
まるで、学生時代の隼人サンのようだ。
元々、潮田サンも赤羽サンも同じクラスだったから、割と仲がいいほうだと思う。
ちなみに、ウチもそうだったが、関わったことは余りない。
「やぁ、渚くん、久しぶり」
「久しぶり」
「わ、あれが例の殺せんせー?すっげホントにタコみたいだ」
面白そうに笑って、赤羽サンは殺せんせーの元に向かう。
あの、あくどいリボーンサンのような笑い方。
何か、企んでいる。
予想どうり、赤羽サンはやらかした。
赤羽サンのよろしくと差し出した手に、ナイフを小さく切った物が貼り付けてあり、対先生物質なこともあり、溶けた。
何が?
もちろん、殺せんせーの触手が。
相変わらず、エグい。
やはり、赤羽サンは賢い。
暗殺は騙してナンボの世界。
彼のような姑息な手が最も相応しい。
と、リボーンサンに教わった。
まぁ、天下のボンゴレ独立暗殺部隊ヴァリアーは例外だが。
あそこは、タダの戦闘狂しか居ないと思う。
まぁ、この前勧誘されたが。
赤羽サンが殺せんせーを挑発している姿に嫌な予感。
面倒な事に巻き込まれそうだ。
「ねぇ、蒼井さん、ジェラード食べる?」
「は?」
テストの途中。
赤羽サンからジェラードを差し出された。
突然の絡みに混乱。
何だ、この人。
「テスト、終わってるんでしょ?」
「そうすけど」
「じゃあ、食べよ」
ズイッとジェラートが差し出される。
美味しそうだ。
良く分からないが、くれるらしい。
貰っておいて、損は無いのでそのままパクリと一口。
「何すか」
「……………蒼井さんって、そういうところ鈍いよね」
「……はぁ」
食べろと言うから、食べたのにため息ついて呆れた赤羽サン。
てか、ウチのことを名前で呼んでる人、久々に見た。
「そ、それは昨日先生がイタリアに行って買ったやつ!!」
「ご馳走さます」
イタリアで買った本場のジェラートらしい。
今度、スクアーロサンかベルサンあたりに頼もう。
意外に美味しかった。
そこで、コチラにやってきた殺せんせーの触手、もとい足がドロリ、と溶けた。
だから、エグい。
床には対先生物質のBB弾。
あ、さっきウチがこぼしたやつだ。
別に謝るつもりはないが。
「やるじゃん、蒼井さん」
「別に、こぼしただけす」
黙っていたら、まさかのカミングアウト。
別に、知られたからといってどうというわけではないが。
とりあえず、ソッチに巻き込まないで欲しい。
ウチは、早くアレを完成させたいんだ。
放っておいてくれると助かる、非常に助かる。
そんなウチにお構いなしに赤羽サンが銃を取り出し、発泡。
その後、ジェラードを殺せんせーの服につけた。
ジェラートが勿体無い。
食べ物を粗末にするなよ、赤羽サン。
「蒼井さん、オレサボってるからさ、授業終わったら来てよ」
「ウチを巻き込まないで欲しいす」
「じゃーね、先生明日も遊ぼうね!」
人の話を聞いてください、赤羽サン。
クラス中の視線がビシビシ刺さる。
当の本人は教室から出て行ってしまった。
あぁ、面倒な事に巻き込まれた。
【あぁ、面倒な事に巻き込まれた】
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