面倒事が、8つ




登校後、真っ先に発した言葉。

「さて、始めましょうか」

突然、5〜6体に分身した殺せんせー。
それぞれに各教科の鉢巻。
何事すか。

「「(何を!?)」」

クラス全員の心のツッコミが聞こえた。
なんでも、中間テストが近いので高速強化テスト勉強をやるらしい。

「何で俺だけナ○トなんだよ!!」

うずまき型の鉢巻は寺坂サン専用らしい。
きっと、苦手な教科が多すぎるのだろう。
かく言うウチはボスと共にリボーンサンのネッチョリ特訓を受けている為、特に問題ない。
そもそも、このクラスに落ちた理由は協調性の無さが故に。
受ける必要性を感じない。
と、そこでマッハ20の殺せんせー登場。
鉢巻には………………

「舐めてんすか、殺せんせー」
「いえいえ、そんなことありませんよ。空さんは特に苦手そうな科目がなかったので発展した問題をやって貰います」
「………………なんで松なんすか」
「これは、松岡○造さんのやる気を表します」
「………………そすか」

突然、目の前の殺せんせーが不格好に歪む。
何事。

「急に暗殺しないで下さいカルマくん!!避けると残像が全部乱れるんです!!」
「結構、繊細なんすね」



なんやかんやで終了した強化テスト勉強の時間。
課題を終わらせ提出する為に職員室に行く。
職員室前に殺せんせーと潮田サン。
殺せんせーに課題を提出し、さて帰ろうか、方向転換をした瞬間。
パキッ、と硬いプラスチック性と思われる物を壊す音。
なんとなく潮田サンと共に窓から中を覗いた。
職員室の中では浅野理事長バラしていた。
何をって?
ルービックキューブをだ。
アレ、ドライバーで簡単に壊れるんすよね。
殺せんせーは目理事長だと知るや否や、肩を揉み、お茶を淹れと下手に出た。
うわぁ。

「今日D組の担任から苦情が来ましてね。うちの生徒がE組の生徒から凄い目で睨まれて殺すぞと脅されたと」
「ホント、懲りないすよね。ああいうタイプは」
「メカ…………」

どうやら、理事長はウチらエンドのE組が本校舎の生徒に逆らう事が気に食わないようだ。
ホント、歪んだ教育方針すね。

「殺せんせー」

ジャラ、とスーツの内ポケットから知恵の輪を取り出した理事長。
ソレを殺せんせーに投げ渡した。

「一秒以内に解いて下さい」

投げられた知恵の輪を受け取り、マッハ20で解く。
否、解こうとした。
焦りの為か触手が絡まり、身動きが取れないようになっている。
アレ、コレは暗殺のチャンスすよね?
理事長が殺せんせーを見下ろす。

「スピードはスゴいがこの世の中にはスピードで解決出来ない問題もある」

まぁ、正論すよね。
ガラリ、と開けた職員室の扉から理事長が出てくる。
そして、直ぐ側に立っていたウチと潮田サンに気がついた。

「やあ!中間テスト期待してるよ、2人とも頑張りなさい!」
「ウソくさ」

人の良さそうなでも貼り付けた笑顔。
その気持ち悪さについイタリア語で呟く。
ソレにピクリと反応するあたり、やっぱりこの人、凄い。
まぁ、イタリア語も分からないような人がこのヒエラルキーを作り出せるとは思わないけれども。

【ウソくさ】



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