文化祭
「今年の文化祭は…」
「ガチムチカフェで決定だね!」
「馬鹿なの!?」

我らラグビー部は文化祭での出し物を決めて居る最中である。
ちなみに去年は焼きそばを作っていた。
法被を着てタオルを頭に巻く赤山はそれはそれはカッコよかった。

「なー、ウド、がちむち?ってなんだ?」
「えーっと…」
「石清水と祇園〜変な事覚えなくて良いからな〜?とにかく、それはやりません」
「えぇー!!んんー…じゃあ何やるのさー…」
そこでポツリと赤山が言葉を零した。
「茶屋なんてどうだ…?」
「茶屋?」
「団子とか、た、たい焼きとか提供する」
「それ赤山が、たい焼き食べたいだけじゃ」

「…和服!!!いい!!」

「わー、変な火がついちゃった」

「着物なら任せて、おじいちゃんと父さんのが何着かあった筈。サイズも気にしないでいいしあとは食べ物だね、食べ物は衛生面とか考えなきゃだし甘味物は…」
「これならなし子に任せて大丈夫そうだな」
「こうなった時の集中力は頼もしいんだけどなあ」
「じゃあ後は俺らで接客する人と厨房の人決めようか」
八王子が切り出すと悪ノリした加茂が手を挙げた。
「いよーーっし判決は俺に任せろ〜!」
「雷太!!稼ぐことを考えてしっかりイケメンは接客役に回すように!!」
「隊長!ラジャーでありやす!」

続々と決まる中(雷太の独断)赤山との攻防が続いていた。

「いや、俺は裏方でいい、」
「なーに言ってんだよ!セッキーも稼ぎ頭なんだからな!!」
「無理だ、裏方をやる」

そんな中顔が引きつっている八王子に松尾がコソッと声をかける。
「あ、ハチちょっと…」
「なに?松尾…」
「あのさ…」



そして迎えた学園祭当日
「いいっ!!!凄く良い!!!」

「なし子、お前その格好…」
「あぁ、これね、うめちゃんに看板娘してもらおうと思って割烹着どうしても着せたくてそしたらうめちゃんがあたしも着るなら良いですよーって」
「そ、うか」
「赤山ー?」
「その、なんだ、に、似合ってる、すごく…」
「そ、そっかなあ?あははは、いや、馬子にも衣装ってやつだよね…」
「そんな事ない!…綺麗だ」
「はっ…」
お互い真っ赤になって黙っているとそれを着替え終わって入って来た祗園によって砕かれた。
「あーーー!なし子先輩も着物きてる!!」
「ぎ、祗園くん!空気読もう!!」
「どうすか!先輩!!俺かっけえだろ!!」
「祗園ちゃんと着れてるじゃん!カッコいいよ〜」
「ふふん!っていでででで!!」
「敬語」
「赤山程々にね?ね??」



「らしゃーーーーい!!」
「い、いらっしゃい、ませ…」


「さあさあ開始早々は呼び込みが肝心!!」

「鹿島と松尾と大原野は歩くだけで女子が寄ってくるからそのままフラッと歩いてきて戻ってきて!」
「お、おう」
「あはは、うん、わかった」
「面倒くさい…」
「江文はいつも侍らせてるギャルを釣ってコーーイ!」
「あれぁ別にはべらせてるわけじゃ!!」
「さぁぁあ!!行ってこーーーい!!」

そして暫くすると第1号のお客さんが来た。
「よぉ、面白いもんしてるじゃねーか」
「籠さん!!」
「あらやだ!皆んなカッコいいわねぇ」
「ゆみちゃんだーーーーー!」
コーチの籠とその妻である由美の登場に皆んな盛り上がる。
指揮が上がったところで作戦通りラグビー部を誇るイケメン達が客を連れて戻って来ては連れて来てを繰り返し大繁盛である。

「うわー!なんか凄い!!」
「すみませーん」

「はいはーい!今行きます!」

「なし子」
「あ!ハチくん!休憩お疲れ様!次休憩あたしと赤山だっけ?」
気を利かせて皆んながあたしと赤山は一緒の休憩にしてくれてなんだか申し訳ない。
「うん、そうなんだけどね、厨房今凄く大変になっちゃってるから、なし子には申し訳ないけど赤山と休憩ズレて休んで」
「…そっか、うん、行ってきます」
「行ってらっしゃい」



「ハチ行ったか?」
「うん、何だか悪いことしちゃったけど」
「よし、んじゃあさっさとタクを呼んでくるか…」


「つまんないの…」

赤山と一緒に回る予定だった出し物の周りをうろうろしてみたが食べる気も起きなくて中庭のベンチに腰掛ける。どうせ着物だからあまり動き回っても仕方ないかと取り敢えず何か食べてすぐ戻ろうと思い文化祭のパンフレットをパラパラめくっていく
ふと、目の前に影がさしたと思い顔をあげるとそこには赤山がいた。
が、
みた途端なし子は目を見開いて固まってしまった。

「なし子、」

「え、せきざ…」
「お前、どっか行っちまうし、睦はなんも言ってくんねーし」

「っ…」
「どうした?何処か具合悪いのか?」

「がっごい"ぃぃぃ!!!」
「は?」
赤山の格好は厨房用のエプロン姿ではなく着物。
着付けされた着物の間から見え隠れする鍛えあげられた筋肉、そして軽く結われている髪の毛。
全てがパーフェクトでいてもたってもいられなくなる。

「なし子、大丈夫か?その、なんだ。落ち着け」
赤山は懐からハンカチをとりだし目元を優しく拭いてくれる。
「んっ、んんっ、」
その後落ち着いた後に赤山にエスコートされて他の部の出し物を見て回っていく
クレープを食べたりケーキを食べたりとチョイスが甘いものばかりでついつい笑ってしまう、ふとお茶を飲んで一息ついたところで赤山が口を開いた。
「去年、一昨年とお前には頼ってばかりで今年はその感謝を皆んな返したいんだ」
「あたしは別にただグラウンド見ながら叫んでただけだよ」
「キャプテンとしてそして俺一個人として感謝してる。ラグビー誘ってくれてありがとな」
「なんか、照れるなあ…」
「そろそろ戻らねえとな、行くぞ」
「うん!」
ラグビー部の元へ戻るとクラッカーを一斉に発射され皆んなから感謝の言葉で迎えられて思わず涙が出てしまった。


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bkm
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