痴漢
いつもの満員電車。
なし子をドア側にして彼女が押し潰されないように俺が被さるようにする。
「っ、」
「?赤山どうしたの…?」
「い、いや、なんでもない」
自分のケツを触られたような感覚があったが
いやまさかと俺は無視を決め込む

が、

「それでね〜その作業松尾がやっててさー」
「あぁ、トシならやりそっ!?」
撫で付けるような手が股間に伸びた
一気にゾワゾワと悪寒が走る。
でもこれで男だと気づき止めるだろうと思っていた。
だが、その手は止まる事なくタマの部分をふにふにといじくりツッーと撫でる
堪らず俯きそうになるがいかんせんなし子が目の前にいる。彼女には俺が痴漢されてるなんて恥ずかしくてバレたくない。
少し我慢すれば気がすむ。そう信じているが触ってくる手は止まらない
「っっ…」
「赤山、具合悪い?」
「いや、違うんだ、」
「…」
ふと、彼女はカバンから携帯を取り出し少し操作した後俺の方を見上げてきた。

「赤山、次で1回降りるよ」
「は?いや、本当に大丈夫なんだ、」
「良いから」

ドアは丁度よく俺ら側の方が開き俺の手を引く彼女。
と、その後ろで
「ちょ!?きゃあ!?なになに!?」
「…は?」

見知らぬ女もなし子に手を引かれ降ろされた。

「お姉さん、なんで降ろされたかわかるよね?」
「はあ?こっちは迷惑こうむってるんだけど」
そのままなし子は駅員を見つけかけよる。

「駅員さん、少しよろしいですか?」
「はい?」

「こちらの方痴漢でして、」
「は、はあ?」
「あ、こっちの男の子が、この女に、痴漢されましてね」
「ちょっと!!わたしやってないわよ!!」
苛立ちを見せる女に対してニッコリと笑っているなし子に何処と無く恐怖を感じる。
彼女はカバンから携帯を取り出し
画面を女に見せる。すると見る見ると青ざめていき
「しらばっくれんなよババア。女だからって痴漢にならないと思ったら大間違いだよこの痴女が」
「っ!!!」
なにかと思い画面を見せてもらうとスーツの男の達の若干開いた隙間から女の姿そして俺の後ろ姿が写っている。その彼女の手は俺の股間に伸びているのがはっきりと写っている。
「これ、どうやって…」
どう見てもなし子側からは無理な撮影である。
「友達が送ってきてくれてね、気づくの遅れてごめんね、赤山」

「ご、ごめんなさい、ごめんなさい!!」
「二度としないでくださいね、男性側が大喜びだと思ったら大間違いですよ」
「っ!」
「駅員さん後はお願いしてもよろしいでしょうか?」
「警察に通報はよろしいですか?」
「はい、朝練があるので、あ、でもお名前と会社だけ伺っていいですか?またやったら次はないですからね?」




「赤山大丈夫?朝練とかに支障きたしそうならもう少し遅く行く?」
「いや、大丈夫だ。お前のおかげだ」
ぎゅっと手を握りしめると彼女ははにかんでムズムズした表情になる。
「…どうした」
「赤山に触って良いのはあたしだけだからね」
「そうだな」

一生なし子には頭が上がらないなと思った。

「惚れ直した…なあ、トシ、俺は何回なし子に惚れれば良いんだ…」
「とりあえずタク、乙女なポーズやめて」


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bkm
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