「たい焼きが食べたい」
今日も練習を終え帰宅している途中だった。赤山がいきなり口を開いた。
「いきなりだね」
「食べたい」
「んー、コンビニのスイーツコーナーにあるかなあ…」
「冷えてるやつはやだ」
「もー、ワガママモード?」
寒い帰り道マフラーに首を埋めてむっと唇を突き出している彼は何処と無く可愛い
「む、なんだ」
「いや、可愛くて」
「可愛いとかいうな」
「ぶへっ冷たい」
ムギュっと冷え切った手でほっぺを摘まれる
「柔いな…」
「んぶべ、しぇきじゃんやーめーてー」
「ふはっ、すげえ顔」
「どうせブスですー」
「そんな事ない、すごく可愛い」
「っ、たいやき買わないで帰るよー」
「すまないすまない、さ、行こう」
彼は余裕そうに笑って手をとって歩き出す。
あたしは赤くなって緩んだ顔が恥ずかしくてたまらず下を向く。
「赤山って時々ズルイ」
「そうか?」
その後無事商店街でたいやきを買って仲良く食べて帰った。