嵐は突然に
それは昼休みのことだ。
「赤山くん」
「?なんだ」
「今日提出のプリントまだ出してないよ」
「あぁすまない今出す」
「もー、気をつけてよね、あは、相変わらず字達筆」
「そうか」
それだけ話すとその子はその子のグループに戻っていく。
「ねー、赤山ー」
「?なんだ??…顔が膨れてるぞどうした?」
「…、弁当美味しい?」
「あぁ、特に卵焼きは特にうめぇ」
「卵焼きは自分でも自信がある」
「えー!濯也くん俺にもちょうだい!!」
「やらねぇ!!!」



「今日は肉じゃががんばったー!」
「丁度いい味付けだ」
「タク段々胃袋掴まれてきてるね」
「物欲しそうに見てもやらねぇ」

「赤山くん」

振り向けばあの子

「さっき授業中寝てたでしょ?」
「あぁ少しな」
「ノート貸そうか?放課後空いてる日あるなら教えるよ?」
「大丈夫だ」
「そう」
それだけ話すとその子は戻る。
さっきまで美味しかったご飯が段々味が無くなってきた。ただひたすら口に詰める作業になる。
「最近昼休みになるたびくるよなー」
「なにがだ?」
「ありゃ、セッキー気づいてない?」
「今来た子何かしらの理由つけて来るよな」
「なし子大丈夫か〜??遂にライバル登場だぞ!!」
「ライバルって言ってもなー」
もぐもぐと口を動かし次々とおかずを口に入れていく。美味しくない。
「ライバルかー…」
あの子に告白されたら赤山はどうなるのかな
なんて呑気に考えていた。


「すまん、日直で少し遅れる」
「了解、先に行ってるね」
すると入れ替わるようにあの子が来た。
部活には一刻も早く行かねばならないが気になって仕方ないのでそっとドアから中を覗く。

「赤山くん」



「あのね、私ね赤山くんの事が好き」


ピシリと空気が固まる。
赤山は日誌を書く手を止め彼女のほうに向き


「すまないが、なし子一筋なんだ」

と強く言い放った。

「私の方に振り向いてもらえるように頑張るね」
「人の話が聞けないのか」
「じゃあバイバイ」
それだけ言うとあの子が出てきてあたしは慌ててグラウンドまで走った。
バクバクと心臓は脈打ち変に喉はカラカラだった。
このままじゃ、赤山が、あの子の元へ行ってしまうような気にもなってきた。

行動しなきゃと決意を固めた。


「赤山くんはい、これ」
「なんだこれは」
「お弁当」
「いらん。」
「えー、困ったなあ…受け取って貰えないと捨てることになっちゃうなあ…」
「眞子にでもやっておけ」
「私は赤山くんに作ってきたんですけどー」
「いらん」
段々と目の前で繰り広げられてる会話に行くなら今しかないと箸を置いた。
「ねぇ」
「な、なによ」
「赤山のどこが好き?三角筋?大胸筋?腹筋?上腕二頭筋?大腿四頭筋?大臀筋?」
「は、はあ?」
「お弁当はどれどれ…うわあ美味しそうでも栄養偏ってるから駄目。よってあたしが食べる」
「は?」
可愛いタコさんウィンナーに箸をぶっさしパクリと口の中へハートの形の人参なんて真ん中でぶった切ってやった。
唐揚げは広田のお弁当箱にポイポイ投げ入れた。
ザワザワと周りはして来るがおかまい無しだ。
あたしはこの子と戦うことを誓った。
赤山と松尾は止めに入ろうかハラハラしていて
八王子に至っては頭を抱えている。

「ちょ!?なにしてんのよ!」
「それはこっちの台詞!人の旦那に付きまとってなんだ!バカ!阿保!顔が可愛いからって許さんぞ!!」
「なに言ってんの!?頭おかしいんじゃない?!」
「おかしいのはだいぶ前からだからそんな言葉へでもないわ!」
「大体あんたと赤山くんじゃ釣り合わないの!カッコいい赤山くんとなんでちんちくりんなあんたが付き合えてるのか意味わからない!」
「ちんちくりんは余計だ馬鹿あ!!
それに赤山がカッコいい?赤山はどう見ても可愛いだろ!!!甘いもの食べたくてワガママになっちゃうとことか凄く可愛いんだからね!!あ、ごっめーん知らないよね、」
「あんたなんか、あんたなんかさっさと振られろバーカ!!!」
それだけ言うと返す言葉がなくなったのか彼女は教室から出て行った。
そんな彼女の姿に満足しかなく
「…ふ、勝った」
ドヤりと決めてやった。
「阿保同士だったか」
「凄い茶番見せられた」
「この唐揚げ冷凍食品だな」

「さ、お弁当食べよー赤山」
いつも通りに戻り席に座り赤山に声をかけるが顔が真っ赤になって固まっていた。
「だ、旦那…」
「赤山ー?おーい?」
ヒラヒラと目の前で手を振るとその手を取られ彼は真剣な眼差しで
「責任は取る」
「え、うん?ありがとう?」
とりあえず1つの嵐は消え去りました。



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もっとシリアスにするつもりが馬鹿同士のキャットファイトになってしまった。


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bkm
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